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2021年12月3日(金)

主張

米軍機タンク投棄

配備撤回を求める声高めよう

 青森県の米空軍三沢基地(三沢市)に所属するF16戦闘機が11月30日、飛行中に機体がトラブルを起こし、緊急着陸のため主翼に取り付けられていた燃料タンク2本を上空から投棄しました。そのうちの1本が見つかったのは、同県深浦町の中心部で、役場に近く、そばにはJRの線路も走る国道付近でした。民家が立ち並び、発見場所から最も近い住宅とは20メートルしか離れていなかったと報じられています。文字通り、一歩間違えば大惨事になっていました。事故原因の究明までF16戦闘機全ての飛行を中止させるのは当然です。

ずさんな安全管理体制

 「竜巻に遭ったように家が揺れた」「よく生きていたなと思う」―。燃料タンクが落下した事故現場から伝えられる住民の恐怖の声です。周辺にはタンクの残骸が散らばり、鼻を突く油の臭いが広がっていたといいます。

 青森空港(青森市)に緊急着陸したF16戦闘機が投棄したもう1本の燃料タンクは岩木山(青森県弘前市、鰺ケ沢町)近くに落下したとされますが、深浦町の山中で新たに残骸が発見され、確認中と報道されています。

 米軍は当初、燃料タンクが落下したのは2本とも「岩木山付近の非居住地域」と発表していました。強い批判を浴びて陳謝し、うち1本は「深浦町の民間地域」に落下したと訂正していました。あまりにずさんな安全管理体制です。

 三沢基地所属のF16戦闘機はこれまでも危険な事故をたびたび起こしてきました。青森県平和委員会の調べによると、1985年に同基地に配備されて以来、燃料タンクの投棄は今回の事故を含め20回、模擬弾の落下事故も12回に上ります。墜落事故も12件(13機)あり、2002年には深浦町沖でも発生しています。

 近年も、18年に三沢基地から離陸した直後にエンジン火災を起こして2本の燃料タンクを小川原湖(同県東北町)に投棄したり、19年には同県六ケ所村の牧草地に約230キロもの模擬弾を落下させたりしています。重大事故が続くまさに異常事態です。

 三沢基地にF16戦闘機が配備されたのは、米軍の“やりの穂先”として旧ソ連の極東軍増強の動きに対抗するためでした。ソ連崩壊後の1990年代半ば以降は、敵の地対空ミサイルシステムなど防空網を制圧・破壊する任務が与えられています。「世界規模で展開可能な部隊」(三沢基地ホームページ)として、イラク上空に一方的に設定した飛行禁止空域での空爆作戦をはじめ、2003年のイラク侵略、アフガニスタンでの「対テロ」戦争など中東への出撃を繰り返してきました。

 「日本防衛」と無縁な海外“殴り込み”部隊にほかなりません。

地位協定の抜本改定を

 防衛省は今回のF16戦闘機の事故をめぐり、米軍に「飛行の安全が確認されるまでの間、飛行を行わないよう」求めています。しかし、米軍に治外法権的な特権を与えている日米地位協定の下、「要請」にとどまり、主権国家として飛行を禁止させることができず、独自の原因究明さえできないのは屈辱的です。

 問題の根本的解決のためには地位協定の抜本改定とともに、F16戦闘機部隊の配備撤回を求める声と運動を高めることが必要です。


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