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2021年12月2日(木)

2021総選挙 攻防のプロセス(中)

体制的危機感から攻撃激化

“日米同盟が危うくなる”

 10月19日、静岡県内で第一声を行った自民党の甘利明幹事長(当時)は、解散日に続き公示直前のNHK番組(同17日)でも行っていた体制選択論攻撃を継続―。異常な総選挙の幕開けとなりました。

 公明党の山口那津男代表は、14日の街頭演説で、日本共産党が「天皇制は憲法違反、廃止すべきだ」と主張しているなどと攻撃。天皇の制度を「憲法上の制度」とし、憲法の全条項を守ることを明記した綱領をもつ日本共産党への荒唐無稽なデマ攻撃でした。小池晃書記局長はただちに「撤回要求」しましたが、山口氏は最後までこたえず、選挙を汚す姿勢に終始しました。

自民「急告」発出

 “体制的危機感”にかられた支配層が、総選挙で基本戦略においたのは、野党共闘の推進力として奮闘している日本共産党に攻撃を集中することで、共闘を分断し、破壊することでした。攻撃は総選挙の中盤から最終盤に一層激しさを増していきました。

 公示後、「自民党は単独で衆院定数の過半数を維持できるかどうかの攻防」(「読売」同21日付)などと接戦が報じられると、甘利幹事長と遠藤利明選挙対策委員長の連名で「情勢緊迫―一票一票の獲得に全力を!!」(同日)と訴える緊急指令(「急告」)を発出。「全国各地で多くのわが党候補者が当落を争う極めて緊迫した状況」だなどとして全国的な巻き返しを図りました。

 同時に「急告」は「与野党一騎打ちの構図によって、かえってこの選挙が『(自公の)自由民主主義政権』か『共産主義(が参加する)政権』かの体制選択選挙であることが有権者の目に鮮明となっています」などとし、共産党に攻撃を集中することで共闘を攻撃し、分断をもたらす意図をより明確にしました。

維新の会も展開

 自公の補完勢力の日本維新の会は、市民と野党の共闘に対する“野合”攻撃を展開。「防衛と外交の政策を合わさないと政権を取ってからガタガタになる」(10月25日、日本維新の会の松井一郎代表)といった攻撃を、松井氏はじめ吉村洋文副代表や馬場伸幸幹事長(当時)が街頭などで行ったのです。

 維新の本拠地の近畿圏や元自民党の鈴木宗男参院議員の地盤・北海道、とくに札幌市の人口の8割を抱える1~3区では、維新の宣伝カーが連日、「野合」攻撃を連呼して回りました。

 安倍晋三元首相は街頭演説で、「共産党の力を借りて立憲民主党が政権を取ったら、それだけで日米同盟の信頼関係は危うくなる。方向は逆だ。中国が軍事力を増強しており、日米同盟は関係を強化していく必要がある」と述べ、安保法制=戦争法を「廃止」すれば、「日米同盟は終わりです」(同23日)とまで主張。連日、応援先各地で同じ攻撃を繰り返しました。

 安倍氏の「野党共闘」攻撃は、「同盟崩壊」という自公政治の土台への脅威をあらわにしたものでした。同時に、中国の軍拡や覇権主義の危険をあおって、安保体制が危うくなると国民の不安をかき立てようとしたのです。

 こうした野党共闘と日本共産党への攻撃は、テレビ討論でも行われました。10月24日のNHK党首討論では、岸田文雄首相が「野党の選挙協力には政策・理念どうなんだろうか、選挙後どうなんだろうかという意見を聞く」と発言。維新の松井代表は「外交・安全保障を横において政権選択選挙で有権者の信を問うことほど無責任な話はない」と攻撃しました。

 これに対し、日本共産党の志位和夫委員長は、「岸田さんが『政策ではどうか』とおっしゃいましたけども、20項目の合意がある」とのべ、野党共通政策を列挙し、「岸田さんが逆立ちしてもできないような政策がしっかり並んでおります」と反論。松井氏に対しても「野党共通政策を読んでから言ってほしい」とのべ、「安保法制の違憲部分の廃止」を指摘。「これは集団的自衛権を行使するのはやめようということです。憲法違反だからやめようと。安保・外交の一番の根幹部分でしっかり合意しているんです」と反撃し、日本を「海外で戦争する国」にしないという根幹部分での合意を強調しました。

 翌日の民放BS番組では、志位氏が「読売」特別編集委員などを相手に安保条約などで党の立場を丁寧に説明。「日米安保は決して日本の防衛のためのものじゃない。アメリカと日本が海外で(共同して)戦争をする仕掛けになっているわけですから」「ただ、いま野党の中で(安保条約廃棄は)合意になっていません。ですから新しい政権ができた場合にも、それからいまの野党共闘にも、それを押し付けること、持ち込むことはしない」と明快にのべました。

 このように、選挙戦のなかでも、「野合」攻撃が的外れなのは明瞭でした。(つづく)


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