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2021年11月30日(火)

主張

補正予算・軍事費

際限のない大軍拡許されない

 12月6日召集の臨時国会で審議される2021年度補正予算案で、軍事費(防衛関係費)は過去最大の7738億円が盛り込まれました。これまでの補正計上額で最も多かった19年度の4287億円の1・8倍という異例の規模です。12年末に発足した第2次安倍晋三政権以降、右肩上がりで増額を続けてきた軍事費をさらに補正で大幅に積み増そうとする大軍拡計画です。

初めて6兆円を超える

 財政法29条は、内閣が補正予算を編成し国会に提出できるのは「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出」を行う場合に限定しています。

 ところが、安倍政権の下、戦闘機や護衛艦、ミサイルなどの兵器購入費の支払いを前倒しするための経費を補正予算に盛り込むことが常態化してきました。これは補正予算の趣旨を根本からゆがめるものにほかなりません。岸田文雄政権が今月26日に閣議決定した補正予算案も同じやり方を、規模を一層拡大し踏襲するものです。

 今回の補正予算案と、これも過去最大を更新している21年度当初予算の5兆3422億円との軍事費の合計は、6兆1千億円を超えることになります。補正と当初予算を合わせた軍事費総額で最高額だった20年度の5兆6758億円をはるかに上回り、初めて6兆円を突破します。

 防衛省によると、国内総生産(GDP)比も約1・09%になるとされ、歴代内閣が目安としてきた1%も超えることになります。

 防衛省は、中国や北朝鮮などの軍拡を念頭に、ミサイル防衛能力や南西諸島の防衛体制の強化を急ぐ必要があるとしています。具体的には、迎撃ミサイル・パトリオット改良型(441億円)、P1哨戒機(3機・658億円)、C2輸送機(1機・243億円)、魚雷・機雷・対潜水艦用ロケット(217億円)などを計上しています。

 しかし、メディアからも「中朝の軍備増強は最近、突然始まったことではない。補正予算による主要装備品購入がなぜ緊要か、防衛省は合理的な説明ができるのだろうか」(「東京」29日付)と疑問の声が出ています。

 防衛省は、今回の補正予算案と、概算要求中の22年度当初予算案を合わせ、「防衛力強化加速パッケージ」と位置付けています。岸信夫防衛相は26日の省内の会議で「防衛費はわが国防衛の国家意思を示す上でも大きな指標になる」と強調しています。

 軍事費の急膨張は、覇権主義的な動きを強める中国に軍事的に対抗するため、日本により大きな役割を果たさせようとする米国の要求に応えるためです。日米同盟の抜本的強化と日本の軍事大国化という「国家意思」を示すもので、軍拡競争の悪循環を「加速」し、東アジアの軍事緊張をさらに激化させることになります。

辺野古新基地建設費も

 補正予算案の軍事費に沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設費801億円など、米軍再編関係経費が盛り込まれたのも重大です。

 沖縄県の玉城デニー知事は25日、新基地建設の埋め立て工事で政府が申請していた設計変更を不承認にし、全工事の中止を求めています。これに背を向ける点でも、補正予算案を認めるわけにはいきません。


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