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2021年11月29日(月)

“派閥と金権”再び

自民パー券 億単位の荒稼ぎ

一晩に2億円も

 自民党の派閥による金権政治が復活してきた―。26日に公表された2020年分の総務省政治資金収支報告書からは、自民党の各派閥が政治資金パーティーで億単位の資金を集めていたことが分かります。その実態とは―。(「政治とカネ」取材班)


 「岸田文雄首相が勝った先の自民党総裁選を見ても、派閥政治が再び強まってきた感じがする」。ある派閥領袖(りょうしゅう)のもとで働いていた元秘書はそう語ります。

 自民党には現在、七つの派閥があります。所属議員が多い順に、安倍派、麻生派、茂木派、岸田派、二階派、石破派、石原派です。岸田首相は、他派閥の支援を得て総裁に就任できました。議員数がモノをいう、という仕組みです。

“力”を象徴

 派閥の“力”は資金面によく表れています。岸田首相がトップの派閥「宏池政策研究会」は、20年に約2億5400万円を集めました。集金力では各派閥のなかで3番目でした。収入の6割は、たった一晩のパーティーで稼ぎだしています。

 パーティーは、昨年10月5日に東京プリンスホテルで複数の会場に分かれて開かれ、約1億5500万円を集めました。パーティー券代は、事実上の企業・団体献金です。収支報告書をみると大手家具販売のニトリが100万円、日本薬剤師連盟が150万円など、大口購入した企業・団体名が並びます。

 派閥で収入が最も多かったのは当時幹事長として権勢をふるった二階俊博衆院議員の派閥「志帥会」です。収入は約2億8500万円。うち約2億2800万円がパーティー収入です。

 2番目は、麻生太郎副総裁の派閥「志公会」で約2億7200万円です。同会もパーティー1回で約2億1700万円の収入がありました。パーティーで企業・団体献金を集めているのは、派閥に共通した手法です。

「氷代・餅代」

 これらの巨額資金を何に使っているのか―。

 いずれの派閥も夏場と年末に50万~100万円の資金を所属議員に配っています。いわゆる盆暮れの「氷代」と「餅代」です。選挙がある場合には、所属議員に資金の提供もします。派閥が議員数を維持するには資金が必要というわけです。

 もちろん派閥領袖のためにも使われます。岸田氏の場合、昨年の自民党総裁選では、都内の高級ホテルに選対本部を置きました。岸田派に詳しいメディア関係者は「派閥によって使うホテルが決まっています。岸田派はニューオータニです」と言います。宏池政策研究会はその時期、ニューオータニに約485万円を払っています。

 派閥が企業・団体から集めた金を所属議員=子分に配り、総理総裁になるために使っているのです。所属議員も、領袖のために汗をかくほど閣僚などポストを得ることができる仕組みです。

 前出の元秘書は言います。「自民党は金権政治への批判が高まるたびに『脱派閥』と言ってきた。しかし、しばらくすると元に戻ることを繰り返してきた。現状は、まるで昔の金権政治にもどったようだ」

■主な自民党派閥の集金力
(2020年の政治資金収支報告書から)
2020年の収入 うちパーティー収入
二階派 約2億8500万円 約2億2800万円
麻生派 約2億7200万円 約2億1700万円
岸田派 約2億5400万円 約1億5500万円
茂木派(当時は竹下派) 約2億1700万円 約1億8100万円
安倍派(当時は細田派) 約1億8400万円 約1億 300万円

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