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2021年11月19日(金)

森友学園問題 「改ざん強要」記載なし

故赤木俊夫さん「手記」との隔たりなお大きく

開示の公務災害文書から

 学校法人森友学園への国有地売却をめぐり、公文書改ざんを苦に自ら命を絶った財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さん=当時(54)=の、公務災害認定に関する文書。赤木さんが上層部から改ざん作業を強いられたことの記載はありませんでした。改ざんを悔い、「責任を取る」と書き残した赤木さんの手記との隔たりが、改めて浮き上がります。改ざんに至る経緯はなお未解明です。(安川崇)


 財務省はこの国有地売却をめぐり、決裁文書14件を改ざんし国会に提出。安倍晋三元首相や妻の昭恵氏らに関する記述が削られました。

黒塗りを外し

 赤木さんは手記で、財務省本省からの改ざんの指示に「現場として相当抵抗し」たものの「最終的には上司の修正に自らチェックマークを入れ」たと記述。「事実を知っている者として責任を取ります」としました。自死当日である2018年3月7日の日付が付いています。

 今回明らかになった文書は、人事院が19年にいったん大部分を黒塗りにして開示したもの。赤木さんの妻・雅子さんによる請求などを経て、多くの黒塗りを外して再び開示され、17日に雅子さんの代理人弁護士が明らかにしました。

時間外慢性化

 文書は赤木さんについて、国有地売却問題の発覚後に深夜に及ぶ時間外勤務が慢性化し、17年7月ごろにうつ病を発症したと指摘。「公務と自殺との因果関係が認められる」として公務災害を認定しています。

 その要因として文書が挙げたのは「連日にわたる国会からの資料要求」「行政文書の開示請求」「国民からの苦情申出」への対応などでした。

 文書は特に、野党やマスコミ、市民団体からの追及で赤木さんが消耗していったと強調します。

 他方で「改ざん」という表現はありません。あるのは「上級官庁との連絡調整、指示事項への対応」に追われたという記述程度。赤木さんの手記との落差がみてとれます。

 今回の開示文書には異なる日付の複数の文書が含まれています。

 古い日付のものと思われる部分には「決裁文書の書換えに係る報道により、財務省・近財に対する批判報道が過熱するのを見聞きする中で、本人は…自殺をするに至った」という記述がありました。改ざんへの言及ではありますが、“赤木さんが改ざん作業をさせられた”ことは書かれていません。

第三者による再調査必要

 辰巳孝太郎・日本共産党前参院議員の話 今回の文書には驚いた。赤木さんは手記や遺書で、改ざんをさせられたことへの憤まんと苦しみを詳細につづっていた。自死の原因として、改ざんの強要という事実に言及しないということは考えられない。国会が欺かれた事件で公務員の尊い命が失われたのだから、立法府の責任で第三者による再調査を行う必要がある。

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