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2021年11月18日(木)

「改革」叫ぶ維新の実態は…

 総選挙では“改革者”をアピールして、議席を増やした日本維新の会。しかし、その実態は、自公政権の悪政を後押しする最悪の補完勢力にすぎません。維新が、これまで国会で果たしてきた役割を振り返ると―。

生活壊す悪法成立に加担

 維新はこの間、自公政権が進めた新自由主義的「改革」を一体で推進し、その旗振り役を務めてきました。

 国会では国民生活を壊す悪法の成立に次々と加担しています。先の通常国会では政府が提出し、成立させた法案62本の内、56本に賛成するなど補完勢力ぶりを発揮。暮らしや地域経済を守るためのルールを壊し、大企業や富裕層がもうかる「医療・福祉の成長産業化」を主張しています。

 維新は、新型コロナ感染拡大のもとで、病床削減推進法と高齢者医療費2倍化法の二つの医療破壊法に賛成。効率最優先で国民の命を危険にさらす悪法成立に手を貸しました。大阪府・市政でも、市立病院や公衆衛生研究所の統廃合、病床削減を推進し、医療破壊の先導役を担ってきました。その結果、大阪ではコロナによる死者数が第4波で全国最多に。維新政治が最悪の感染拡大を招きました。

 雇用や労働をめぐっては、過労死を促進する残業代ゼロ制度を盛り込む「働き方改革」一括法に賛成し、自公とともに労働者の「使い捨て」を拡大させる規制緩和を進めました。

 経済に関わっては、日本の農畜産業に大打撃を与える環太平洋連携協定(TPP11)や日米貿易協定に賛成。徹底審議を求める国民の声を無視し、自公維で成立させました。

 格差と貧困を拡大させたアベノミクスにも共鳴。馬場伸幸幹事長は代表質問(10月12日の衆院本会議)で、「アベノミクスは失敗ではなく改革が不十分だった。さらに改革を進めるべきだ」と評価しています。

 社会保障を抑え込む一方で“カジノは成長戦略の起爆剤”と言い、カジノ推進法を自民党などと共同提出し、賭博政治を主導。カジノ実施法も強行採決で成立させましたが、その後、維新の衆院議員がカジノ関係者から違法な資金提供を受けていたことが発覚するなど、癒着・腐敗の実態も深刻です。

 維新は、「身を切る改革」として、議員報酬と議員定数の削減を掲げていますが、政党の最大の資金源となっている政党助成金の見直しは一切口にしません。政党助成金は国民の税金を政党が山分けし、憲法が保障する思想・信条の自由を侵害する制度です。ところが維新は2016年から政党助成金を受け取り続け、毎年増額。これまでの受取額は計64億9500万円にのぼります。

改憲の急先鋒、共闘分断

 維新は自公政権とともに、国民の知る権利を脅かす特定秘密保護法をはじめ、「共謀罪」法、土地利用規制法など、違憲立法にことごとく賛成してきました。日本を海外で「殺し、殺される国」にする安保法制=戦争法にも「協力」し、「戦争する国づくり」を進めてきました。

 背景には、軍事力一辺倒の安全保障政策があります。松井一郎代表は「武力を持つなら最終兵器(核兵器)が必要。政治家が本気で議論しないと駄目だ」などと述べ、「核武装論」を唱えています。総選挙公約では防衛費の「GDP(国内総生産)1%枠」の撤廃まで主張しています。

 戦争法の成立後、安倍政権が明文改憲に乗り出すと、馬場幹事長は「(憲法審査会の開催を)妨害しているのは私たちを除く野党だ。野党のケツをたたくのは維新の会に任せていただきたい」と述べ、自公にひたすら協力してきました。

 総選挙後、吉村洋文副代表は「(自民党が)本気で改憲するなら、われわれも本気で付き合う」と発言し、松井代表も来年の参院選の投票と同日で改憲の国民投票を実施すべきだと主張。改憲の急先鋒(せんぽう)に立ち、自民党を支援しています。

 一方、維新は野党共闘を分断する先兵の役割も果たしています。日本共産党や立憲民主党などの野党が19年、衆院本会議に共同提出した安倍内閣不信任決議案にたいして、「共産党と同じ行動をとるのが死んでも嫌だ」(足立康史議員)と述べて不信任案に反対。21年に野党が共同提出した菅内閣不信任決議案にたいしても「三文芝居に付き合っていられない」(松井代表)として反対しました。

 日本学術会議の会員候補に対する違憲の任命拒否問題では、「学問の自由を脅かす」との野党の批判を「筋違いだ」と批判し、政府を擁護しました。

 総選挙でも「日米同盟や自衛隊の考え方を横に置いたまま協力するのは選挙のための数合わせだ」(松井代表)として、日本共産党が参加する市民と野党の共闘を自民党と一緒になって攻撃し続けました。自民党の最悪の補完勢力としての立場は明らかです。

維新が賛成または、実質的に賛成してきた主な悪法
2013年12月 秘密保護法 行政の長が「秘密」指定した情報を、刑罰の脅しで国民から遠ざける
15年9月 戦争法=安保法制 歴代自民党政権が認めていなかった集団的自衛権行使を容認
17年5月 介護保険法改悪 一定以上の所得の利用者の介護保険利用料を3割負担に
6月 共謀罪法 277の犯罪について相談をしただけで処罰。日常的に国民を監視
18年6月 「働き方改革」一括法 過労死ラインの時間外労働を合法化、労働者の「使い捨て」を拡大
12月 TPP関連法 多国籍企業の利益を最大限にするルールをつくり、日本の農畜産業などあらゆる分野に大打撃を与える
改定水道法 水道事業の広域化や運営権の売却(コンセッション方式)を推進
19年7月 カジノ推進法 刑法が禁じる賭博を解禁
21年5月 病床削減法 消費税を財源に病床削減への補助金を法定化
6月 医療費2倍化法 75歳以上の医療費窓口負担に2割負担を導入
土地利用規制法 米軍や自衛隊の基地周辺などに暮らす住民を調査・監視し、必要があれば土地・建物の利用を制限

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