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2021年11月14日(日)

主張

過労死の根絶

いまこそ長時間労働の規制を

 コロナ禍のもとで過労死・過労自殺を引き起こす長時間労働やパワーハラスメントなどが横行しています。とりわけ、医療や介護など、もともと労働条件の厳しい「エッセンシャルワーカー」の分野では、さらなる待遇悪化を伴っている職場も目立ちます。業務の集中により月200時間以上の残業を告発した保健所職員たちの状況は深刻です。このような時だからこそ、労働災害を招く長時間労働などを規制する労働基準法の抜本的改正が求められています。

違法な時間外労働が横行

 労働基準監督署の2020年度監督指導結果によると、対象事業者の37・0%で違法な時間外労働があり、うち月80時間を超える時間外・休日労働をさせていた事業者は33・5%にのぼりました。

 18年に自民・公明政権が強行した「働き方改革」一括法は、長時間労働にお墨付きを与えた大改悪です。罰則付きで違法となる残業の上限を「月100時間未満」「2~6カ月平均で月80時間」「年720時間(休日労働を含めると960時間)」とし、「過労死ライン」を容認しています。医師については、今年5月に年1860時間の時間外労働ができる医療法改悪をおこないました。

 日本のフルタイム労働者の労働時間は年2021時間と、ヨーロッパ諸国(ドイツ1652時間、フランス1425時間、イギリス1697時間)と比べて300~600時間も長くなっています。世界保健機関(WHO)と国際労働機関(ILO)は5月、週55時間以上働く長時間労働者は、心疾患や脳卒中のリスクが高まるとの報告を公表しました。労働基準法を改正し、残業時間の上限は、例外なく「週15時間、月45時間、年360時間」に規制するべきです。

 国家公務員のサービス残業の実態を示し、解消を求めた日本共産党の田村智子参院議員の質問に対し、河野太郎国家公務員制度担当相(当時)が、時間外の在庁時間を残業時間とすると答弁しました(3月)。サービス残業の一掃は不可欠です。

 過労死・過労自殺につながるパワハラが増加しているのも重大です。20年度に精神障害によって、労災決定された1906件のうち、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」のは180件でおよそ1割です。

 トヨタ自動車で17年に男性社員が上司のパワハラが原因で自殺したことに豊田章男社長が遺族に直接謝罪しました。パワハラを放置した企業の責任が問われます。

 現行法に、ハラスメントそのものを禁止する規定がないことが大きな問題です。日本がILOのハラスメント禁止条約を批准し、法律に明記することが必要です。

テレワーク増加の中で

 コロナ禍で増加した自宅で仕事をする「テレワーク」は、労働時間と生活時間を区別しにくくし、長時間労働やサービス残業の一因となっています。労働時間を厳格に管理しなければなりません。時間外労働・休日労働・深夜労働を厳しく制限し、安全衛生確保に実効性を持たせるとともに、欧州連合(EU)が実現している「つながらない権利」(勤務時間外や休日に業務上のメッセージや電話に応じない権利)の確立をすすめることが重要です。


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