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2021年11月9日(火)

主張

「Dappi」疑惑

自民党本部は国民に説明せよ

 政権に批判的な野党やメディアを虚偽情報で攻撃する投稿をしていたツイッターの匿名アカウント「Dappi」と自民党との密接な関係が明らかになり、大きな問題になっています。投稿にかかわっていた会社の社長が自民党本部の事務総長と親戚であることなどを「しんぶん赤旗」日曜版(10月24日号、11月7日号)がスクープしました。政権党と関係の深い会社が、一般市民のツイッターであるかのように装い、野党を攻撃するデマ情報を流していたとすれば、極めて重大です。岸田文雄首相と自民党本部は国民に真相を明らかにすべきです。

事務総長と深い関係浮上

 フォロワー数が約17万にものぼる「Dappi」は、自民党や日本維新の会を賛美する一方、政権を追及する野党議員やメディアを誹謗(ひぼう)中傷してきました。平日の日中の投稿が多いことや、国会の情報が詳しいことなどから個人でできるのかと指摘されていましたが、実態は謎でした。

 立憲民主党の小西洋之、杉尾秀哉両参院議員が、投稿で名誉を傷つけられたとして損害賠償を求める訴訟準備のために東京地裁に請求していた情報開示が認められ、運営にかかわっていたのは、個人でなく法人だったことが判明しました。

 この会社は都内に本店があり、従業員十数人でウェブ・広告制作にたずさわっています。2001年設立で、民間調査会社などによれば得意先は自民党でした。

 日曜版編集部は、問題の会社の社長が自民党本部の事務方トップ・元宿仁事務総長の親戚を名乗り、党本部や東京都連に出入りしていたことを突き止めました。複数の関係者の証言や登記簿などで、元宿氏の父方の5親等である事実も確認しました。

 社長に政党や国会議員を介して国会通行証が貸与された疑いも深まりました。通行証がなければ普通は開設できない国会内の銀行支店に口座を持っていたためです。

 問題の会社は、自民党東京都連から「サーバー代」「テープ起こし代」の名目で13~19年に725万円余りの業務を受注しています。小渕優子・同党組織運動本部長の資金管理団体は09~19年に「ホームページ作成」などの業務で378万円余を支払っています。政党助成金も使われていました。

 会社が一市民であるかのように投稿をすること自体、批判の対象になります。企業が宣伝であることを公にせずに宣伝する商法を違法として規制する国もあります。政治でこんなやり方がまかり通れば、有権者の判断を誤らせます。

民主主義の土台に関わる

 政党や政治家の宣伝や広報は、事実に基づきオープンに行われることが最低限のルールです。政権党が巨額資金を投じフェイクニュースを広げる世論操作をしていたとするなら、民主主義の土台を掘り崩す大スキャンダルにつながります。オーストリアではメディア操作疑惑が浮上した首相が辞任に追い込まれました。

 岸田首相は、ネット工作について「それぞれがルールに従って発信をするべきだというのは当然だ」(10月13日の参院本会議の答弁)と一般論しか言いません。日本の民主主義を危機に陥らせないために、国会での真相解明が不可欠となっています。


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