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2021年11月8日(月)

対立候補の悪評 河井元法相指示

自民まだあるネット世論誘導

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(写真)河井克行元法相と妻の案里元参院議員がそれぞれ代表者の自民党支部が、政治資金収支報告書に添付して提出したインターネット業者からの領収書の写し(画像を一部加工)

 野党を繰り返し攻撃してきたSNSアカウント「Dappi」。運営会社が自民党と取引があることで注目を集めています。この他にも、自民党の国会議員が企業を使い、インターネット上で世論誘導を図ったとされる例があります。

 2019年7月投開票の参院選で地元議員らに多額の現金を配布したとして実刑判決が確定した、河井克行元法相=逮捕前に離党=のケースです。

 昨年10月に東京地裁で開かれた、元法相の妻の案里元参院議員=同、有罪確定=の公判。検察官が「ネット広報コンサルタント」業者の供述調書を読み上げました。

 それによるとこの業者は、案里元議員が初当選した参院選の際、「案里氏のイメージを向上させるため、克行氏の依頼で、対立候補のイメージを悪くする工夫をした。架空の人物を名乗り、ブログに、対立候補らが案里氏を落選させようといじめているような投稿をした」といいます。

 「(投稿の)内容は独断ではなく、克行氏の指示に従った」「克行氏からは継続して仕事を請け負っていた。克行氏の選挙でもSNSなどで対立候補のイメージを悪くするような記事を出した」

現金配布の「証拠隠し」も

「河井元法相が依頼」と業者

データ消去 スタッフ監視

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(写真)買収事件で有罪判決が確定した河井克行元法相(左)と案里元参院議員=2019年8月11日、広島県三原市(克行氏のHPから。一部加工)

 2019年の参院選で、元法相の依頼を受け、インターネットに「対立候補のイメージを悪くする」投稿をしていたというネット業者。案里元議員の公判で読み上げられた供述調書の中では、元法相による現金配布の「証拠隠し」に関与したとみられる証言もしていました。

 河井夫妻は参院選で、案里元議員への票の取りまとめの趣旨で地元の自民党議員らに現金計約2900万円を配布したなどとして公職選挙法違反の罪で20年7月に起訴されました。今年に入って元法相が実刑、元議員は執行猶予付き有罪判決を受け、いずれも確定しています。

呼び出されて…

 それに先立つ19年秋、河井陣営が選挙カー運動員に違法な報酬を払っていたことが週刊誌報道で発覚。元法相は閣僚を辞任しました。業者は同年11月上旬に東京・赤坂の元法相の議員宿舎に呼び出され、パソコン内にあった現金配布先のリストのデータ消去を依頼されたといいます。

 業者は元法相から鍵などを受け取って国会議員会館や広島県内の河井夫妻の自宅に赴き、それぞれの端末からデータ消去ソフトを使って「復元できないように」消去作業をしたと説明。元法相側から「現金を受け取った」と述べていました。

 さらに業者は「同11月下旬、元法相に事務所スタッフの監視を頼まれた」とも証言。スタッフが使う端末のキーボード操作の記録を、別の場所からネット上で確認できるソフトを導入するよう依頼され、広島の事務所で作業をしたと述べました。

 その後、元法相が代表者を務めていた自民党支部から「82万円の支払いを受けた」といいます。

 河井夫妻のそれぞれの自民党支部の19年分の政治資金収支報告書によると、両支部からこの業者に「ネット世論調査・対策」などとして少なくとも計189万円が支出されています。

 この業者に事実確認を求めましたが、回答はありませんでした。

他の議員とも

 他の自民党議員の収支報告書にも、この業者との取引が記載されています。

 下村博文元文科相が代表者の自民党支部は17年に「調査費」64万8000円の支出を記載。小渕優子元経産相の資金管理団体は19年に「ホームページ対策コンサルティング」として33万円を記載しました。

 中山泰秀前防衛副大臣が代表者を務める自民党大阪府支部連合会も16年に「調査費」108万円の支出を記載。大西英男前国交副大臣が代表者の自民党支部は16年と17年に「調査費」計183万6000円を支払ったとしています。


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