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2021年11月3日(水)

主張

公布から75年

憲法を守り生かす決意新たに

 日本国憲法が1946年11月3日に公布されてから75年です。憲法は、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」(前文)して、制定されました。平和を願う国民は自民党の改憲策動を阻んできました。総選挙の結果、自民、公明、日本維新の会の「改憲勢力」が衆院の3分の2を維持することになり、憲法を守り生かす取り組みがさらに重要になっています。安倍晋三元首相以来の改憲路線を引き継ぎ任期中の改憲を公言する岸田文雄首相の企てにストップをかけ、憲法を全面的に実施することこそ必要です。

侵略戦争への反省が原点

 1931年のいわゆる「満州事変」から日中全面戦争、アジア・太平洋戦争と15年にわたった日本の侵略戦争の結果、310万人以上の日本国民と2000万人を超すアジア諸国民の命が奪われました。日本全土と、日本が侵略したアジア・太平洋諸国の国土は荒廃しました。この侵略戦争への痛苦な反省が、憲法の出発点です。

 今春出版された『井上ひさしの憲法指南』(岩波現代文庫)を読みました。「九条の会」の呼びかけ人の一人として活躍した、作家で劇作家の井上さんの生前のエッセーや講演を収めた一冊です。憲法の成り立ち、9条の精神などについてわかりやすく語り、憲法を何より大切にしたいという井上さんの思いが伝わってきます。

 「憲法の三原理(人権尊重、主権在民、国際平和)を害(そこ)なう改正は、やってはならぬことだと考える」「憲法の三原理が、どれほど巨(おお)きな仕事をしているか、どれほど地球に貢献しているかを知った上で、そう(改憲を)説いているのだろうか」

 井上さんは、核兵器をなくし、紛争の解決手段としては武力を使わないことを目指す非核地帯づくりなど、世界各地での取り組みに注目し、憲法の原則が世界共通のものとなっていると強調します。

 また第2次世界大戦後にできた憲法は「地球上の全人類が戦争をしないで生きていこう」という気持ちが高まったときに生まれたものだと指摘して、「『日本国憲法』は世界史からの贈物であり、しかも最高の傑作」と記しています。

 コロナ感染拡大とそのもとでの貧富の格差の深刻な広がりのなかで、憲法前文にある「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」との言葉が今ほど重みを増しているときはありません。人類が直面する大問題である気候危機打開などにも通じます。

 改憲のたくらみは、世界の流れに完全に逆らうものです。憲法9条に自衛隊を書き込む改憲は、戦力不保持・交戦権否認の規定を空文化・死文化し、自衛隊が大手を振って、海外の戦争に出かけるのを可能にするものです。私権を制限する「緊急事態条項」の創設と合わせ、日本を「戦争する国」に引き戻すことを許さないために、力を合わせることが重要です。

改憲推進を許さない

 岸田首相は選挙後の記者会見で、改憲に「積極的に取り組む」と明言しました。自民党がいくら旗を振っても進まなかった改憲に固執する反省のない態度です。

 憲法公布の節目の年に当たり、憲法を守り生かす決意を新たに、世論と運動を強めましょう。


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