しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年10月21日(木)

公益社団法人「日本社会福祉士会」

自民候補の推薦 各県会長に要請

関係者から抗議の声

 公益社団法人「日本社会福祉士会」(西島善久会長)が都道府県社会福祉士会会長会議(2日)で、自民党の橋本岳前衆院議員(元厚生労働副大臣)を総選挙で推薦するよう要請していたことが、分かりました。公益社団法人は、公益事業を主な目的とし、税制上の優遇も受けています。関係者からは「会員には多様な考え、立場の人がいる。特定党派候補者の推薦要請はやめるべきだ」と批判の声が上がっています。


 本紙が入手した同会の内部資料「橋本岳氏への推薦協力について(お願い)」によると、橋本前議員側から推薦協力の依頼があったとして「前向きにご検討いただき」、推薦状を同会に送るよう求めていました。

安倍・菅を支え

 推薦する理由として、橋本前議員が「地域共生社会推進に向けての福祉専門職支援議員連盟」の事務局長であることをあげています。しかし同氏は社会保障削減政策をとりつづけてきた安倍、菅政権を支えてきた人物です。

 岐阜協立大学で社会福祉士の養成に携わる高木博史教授は、同会が採択している「社会福祉士の倫理綱領」には、「差別、貧困、抑圧、排除、無関心、暴力、環境破壊などの無い、自由、平等、共生に基づく社会正義の実現をめざす」と明記していると指摘。「推薦依頼は、倫理綱領の実現に向けて社会・政治の変革を願う会員の思いを踏みにじるものだ」と話します。

 岐阜県社会福祉士会会員でもある高木さんは、西島会長・理事会あての抗議署名に取り組み、3日間で賛同を寄せた幅広い社会福祉関係者142人の名簿を同会に送付しました。

信用にかかわる

 署名に添えられた「抗議声明」は、同会の財政について、「多様な価値観を有する都道府県社会福祉士会会員の会費から運営資金の一部が拠出されている」として、「会として特定党派・特定候補の推薦は妥当なものとはいえない」、政治活動に関する「法的規制はないものの公益社団法人として社会的信用にもかかわる問題」と指摘しています。

 高木さんら有志は、推薦依頼をした会長通知の撤回、経緯の開示、会長説明などを求めています。

 同会はこれまでも、公式ツイッターで橋本氏の政治資金パーティーに参加したことを明らかにし、批判を受けてきました。

 同会は本紙の取材にたいし、20日の時点で「質問に回答できるかどうか分からない」としています。


pageup