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2021年10月10日(日)

領収書不要が11億円超

菅前内閣 機密費支出13億円

ヤミ金「政策推進費」87%占める

 菅義偉前内閣が約1年間の任期中に支出した内閣官房機密費(報償費)は約13億3000万円に上ることがわかりました。このうち加藤勝信官房長官(当時)が自由に使える領収書不要の「政策推進費」が約11億6000万円と87%を占めました。(矢野昌弘)


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(写真)本紙が情報公開請求で入手した資料。加藤官房長官(当時)は年度末の今年3月に政策推進費に1億8630万円(右上)を支出し、わずか13万6371円しか使い残しませんでした

 機密費の総額は、菅内閣の総辞職(4日)を目前にした今月1日の定例会見で加藤官房長官が明らかにしました。

 会見によると、昨年9月16日の菅内閣発足から今年9月末までに支出した官房機密費は13億3000万円といいます。

 3類型ある官房機密費の支出のうち、使途を官房長官しか知らず、最もヤミ金の要素が強い「政策推進費」は約11億6000万円としています。

 発足から先月末までの380日間に、加藤氏は1日平均305万円の「政策推進費」を支出したことになります。

 これは第2次安倍内閣で官房長官だった菅義偉氏が在任中の2822日間に1日平均307万円の「政策推進費」を支出したのとほぼ同じペースです。

 昨年度末に精算して、国庫に返納した官房機密費はわずか13万6000円に過ぎません。

 毎年、国庫への返納額はわずかで、1年間に11億円超の「政策推進費」を使うのは菅氏と同じパターンで、加藤氏はこれを踏襲した格好です。

 1日の会見では、記者から「(官房機密費を)必要なときに必要な額を支出するのであれば、どうして13万円までしか残らないほど使い切るのか」と質問があがりました。

 これに対し加藤氏は「使い切るのではなく、結果ということ」と強弁しました。

 また記者から「日本学術会議の年間予算9・8億円を上回る額が使われている」と指摘を受けました。

 菅内閣は昨年、発足して早々に日本学術会議が推薦する会員候補6人の任命を拒否しました。その際に菅氏が言いつのったことの一つが「(学術会議は)年間約10億円を使っている。国民に理解される存在でなければ」というものでした。

 菅内閣は、公金の私物化や多くの疑惑が指摘されてきた官房機密費について、政治家や公務員、ジャーナリストに支出しないことをルール化することや、一定期間後に支出先を開示するなどの疑念解消には全く手をつけないまま退陣しました。後継の岸田政権の対応が今後問われます。


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