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2021年10月3日(日)

主張

自民党新役員人事

疑惑への無反省が露骨すぎる

 菅義偉首相を引き継ぐ岸田文雄自民党総裁が新しい党役員人事を決めました。安倍晋三政権時代に口利き・金銭授受疑惑で閣僚辞任に追い込まれた甘利明氏が幹事長に就きました。「森友学園」問題の公文書改ざん事件の解明に背を向ける麻生太郎財務相は副総裁になります。安倍・菅政権下で噴き出した数々の金権腐敗・疑惑問題に全く反省のない布陣です。「政治とカネ」疑惑の解明と一掃を求める世論に真っ向から逆らう岸田・自民党には、国民が願う新しい政治は期待できません。

「説明しない」も継承か

 甘利氏は、今度の総裁選で岸田氏支持をいち早く打ち出し、熱心に支援しました。甘利氏は安倍、麻生両氏の盟友で「3A」とも呼ばれる結束ぶりです。2012年末の安倍政権復活を推進した有力メンバーでもあり、文字通り「安倍・菅政治」を支えた中心の一人です。甘利氏の幹事長就任は、麻生副総裁と合わせ、岸田新体制が人的にも「安倍直系」であることを改めて示しました。岸田氏が売り物にする「生まれ変わった自民党」とはかけ離れた姿です。

 なにより甘利氏は、自らの金銭疑惑への説明責任を果たしていません。同氏は、都市再生機構(UR)とトラブルがあった建設業者からの依頼で補償交渉の口利きをし、見返りに大臣室などで現金を受け取った疑惑が16年に発覚し、経済再生相を辞任しました。その時は、国会で一切説明しないまま、健康問題を理由に国会を長期間欠席しました。検察当局は甘利氏と秘書を不起訴にしましたが、同氏は説明から逃げています。

 甘利氏は1日の幹事長就任会見で疑惑について、秘書がやったことで寝耳に水などと責任逃れに躍起となりました。十分説明したなどと言い張りましたが、不起訴後の記者会見はわずか10分ほどで終わり、当時から「不誠実」と厳しく批判されていました。絶対にあいまいにできません。野党が求めている、甘利幹事長の国会での説明に与党は応じるべきです。

 幹事長は資金などを差配できる党の中枢ポストです。河井克行元法相・案里元参院議員の大型買収事件をめぐる党本部からの1・5億円の資金提供も安倍前首相とともに当時の二階俊博幹事長の責任が問われています。自分の疑惑についてフタをしたままの甘利幹事長に、資金提供問題の徹底調査ができるとは思えません。

 また党人事では、安倍政権時の14年、支持者らが参加した観劇ツアーの収支をめぐる政治資金規正法違反が明らかになり経済産業相を辞任した小渕優子氏が組織運動本部長として要職に復権しました。安倍・菅政権で怒りを買ったのは続発した疑惑隠しです。不信を招いた「説明しない政治」を継承する岸田氏の姿勢は重大です。

改憲姿勢もあらわに

 総裁選で安倍前首相が強力に支援したタカ派の高市早苗氏の政調会長就任は、あからさまな改憲シフトです。高市氏は1日の会見で、さっそく党の総選挙公約集に「憲法改正の実現に向けた項目は柱としてしっかりと立てさせてもらう」と表明しました。安倍改憲路線を引き継ぎ、任期中の改憲を目指す岸田体制の危険を浮き彫りにしています。「安倍・菅直系体制」を終わらせ、政権交代を実現することがいよいよ重要です。


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