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2021年10月1日(金)

主張

学術会議介入1年

政権交代で任命拒否の撤回を

 日本学術会議の会員6人の任命を菅義偉首相が拒否してから1年がたちました。首相は理由をいまだ何も説明せず、任命を拒み続けています。自民党の新総裁となった岸田文雄前政調会長も、任命拒否の「撤回は考えていない」と表明しました。

 表紙が替わっても、科学無視と強権政治という政権の本質は変わりません。任命拒否を撤回するには、自民・公明の政権を倒し、政権交代するしかありません。

科学無視の強権あらわに

 昨年9月に発足した菅政権は、違憲・違法な任命拒否によって学問の自由を踏みにじる一方、PCR検査の抑制・軽視、「Go To」事業への固執や東京五輪・パラリンピックの開催強行など、科学を無視したコロナ対策で無為無策と逆行を続けました。安保法制に反対した学者を排除し、科学を政治の下僕にしようとした学術会議への人事介入と表裏一体をなす大失政に他なりません。科学を下僕にする政治が、コロナ禍というパンデミックのもとで、国民の命をいかにないがしろにするのかが浮き彫りになりました。

 日本学術会議は、4月に発表した報告「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」のなかで、同会議の科学的助言機能として、「独立した立場からより広い視野に立った社会課題の発見や、中長期的に未来社会を展望した対応のあり方」を積極的に発出するとしています。こうした助言を政府は尊重すべきです。

 政府は学術会議の在り方に問題をすりかえ、設置形態など組織の改編を検討しています。政府に都合の良い「シンクタンク」に変質させる自民党の「学術会議改革」を押しつけてはなりません。

 任命拒否に現れた学問の自由の侵害が、表現の自由を脅かし、メディアを萎縮させることも、この1年であらわになりました。NHKの番組で、生出演した菅首相に任命拒否問題を質問したキャスターや、二階俊博幹事長に政府のコロナ対応で質問したアナウンサーが次々に降板しました。メディアによる政権への忖度(そんたく)が指摘されています。その後、東京五輪・パラリンピックや自民党総裁選では、メディアジャックといわれる事態が大々的に進みました。

 「学術会議人事介入」や「桜を見る会」をスクープした「しんぶん赤旗」は日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞を連続受賞しました。菅首相を題材にした映画「パンケーキを毒見する」は大ヒットしました。権力監視の役割を担うメディア界の危機的な現状も社会から問われています。

共通政策に盛り込む

 立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組が8日に市民連合と合意した共通政策に、「日本学術会議の会員を同会議の推薦通りに任命する」ことが盛り込まれました。背景には、任命拒否撤回を求める千数百の学会や諸団体が発した抗議声明があります。

 声明を出した日本科学史学会会長の木本忠昭さんは、この合意について「社会の中での科学の重要性が広く認識されたのだと思い、感銘を受けました」と語っています(「しんぶん赤旗」日曜版9月26日号)。野党連合政権こそ、任命拒否の撤回を求める多くの人々の希望です。目前の総選挙で何としても政権交代を実現しましょう。


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