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2021年9月28日(火)

主張

巨額買収の原資

1億5000万円の使途ごまかすな

 2019年参院選の大型買収事件で有罪になった河井克行元法相と案里元参院議員夫妻に自民党本部が提供した1億5000万円の選挙資金について、買収には使われていなかったと同党が発表しました。夫妻の言い分をそのまま紹介したもので、本部として独自に調査したものではありません。機関紙の作成などに使われたといいますが、領収書は公表しておらず、疑念は深まるばかりです。案里氏を選挙に担ぎ出した安倍晋三前首相や二階俊博幹事長、当時の官房長官だった菅義偉首相の説明逃れは許されません。

自民党本部の破格の資金

 19年参院選で自民党本部が広島選挙区に立候補した河井案里陣営に提供した1億5000万円は、同じ選挙区に出馬し落選した同党ベテラン議員の10倍にも上ります。巨額の資金提供を決定できるのは、安倍前首相や二階幹事長以外にないと指摘されており、詳しい説明を求める声が上がっていました。

 ところが今月22日に同党が発表したのは、1億5000万円のうち1億円超を機関紙や政策チラシの作成・配布にあてたほか、人件費や事務所費用にも使ったという簡単なものでした。使途を裏付ける領収書は示されませんでした。1億5000万円のうち1億2000万円は税金で賄う政党助成金であるにもかかわらず、不誠実な姿勢です。

 河井夫妻は、地元の地方議員や自治体首長など100人に約2900万円の資金を渡し、票の取りまとめなどを依頼していました。文字通り票を金で買う、悪質な選挙買収です。現金を受け取った議員の一部には、「安倍さんから」とか「二階さんから」と言って渡された例もあったといいます。

 買収資金の出所について、河井元法相は裁判で「手持ち資金」だなどと言い訳しましたが、河井夫妻側はそれを証明する証拠は一切示していません。自民党本部はこれまで、関係書類が検察に押収されていることを理由に詳しい説明をしませんでした。書類が返還されたのにこんな説明では国民は納得できません。元法相の有罪が確定してから3カ月も説明してこなかったこと自体、大問題です。

 裁判では、自民党本部からの資金が運動員買収に使われたという河井陣営の元会計責任者の調書も読み上げられています。本部からの提供資金が一切、買収に使われていないと言い張るには無理があります。

 河井夫妻の説明を受け売りして幕引きを図るなど言語道断です。2人の言い分を繰り返すだけでなく、自民党本部が責任をもって調査して、国民に報告すべきです。

安倍前首相らの責任重大

 安倍前首相や二階幹事長、菅首相らの態度は無責任の一語につきます。二階幹事長は、今回の発表にあたっても、柴山昌彦幹事長代理に説明を丸投げし、顔も見せませんでした。当時の自民党総裁として最も責任がある安倍前首相は、沈黙を続けています。

 河井事件について、二階幹事長は「他山の石」などと開き直りました。「他山の石」どころか自民党が提供した巨額資金が買収の原資になったのではないかという“自山”の石です。

 安倍前首相、二階幹事長、菅首相らが、だんまりを決め込むのは通用しません。


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