しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年7月27日(火)

「黒い雨」訴訟 国が上告断念

被爆者と認め手帳交付へ

原告「全被害者救済を」

 広島への原爆投下後、放射性物質を含む「黒い雨」により健康被害を受けたとして住民ら84人を被爆者と認めた広島高裁の判決を受け、菅義偉首相は26日、上告を断念し「ただちに被爆者健康手帳を交付したい。同じような事情の方についても救済を検討したい」と表明しました。官邸で記者団の質問に答えました。被爆者らの長年にわたる運動と世論が動かしたものです。日本共産党の小池晃書記局長は同日の記者会見で、「原告全員にただちに被爆者健康手帳を交付し、全ての『黒い雨』被爆者を幅広く救済するよう求めたい」と述べました。(関連記事)

 首相は、「原告の多くは高齢者で病気の方もいるので速やかに救済すべきだという考え方に至った」と述べる一方、「政府として受け入れがたい部分もあるので談話という形で調整していきたい」と語りました。

 「黒い雨」被害をめぐっては、広島地裁が、大雨が降ったとされる地域外でも被爆者と認定。高裁は、健康被害が原爆の影響ではないと証明されない限り黒い雨の影響だと判断すべきだと踏み込んだ判決を示しました。

 原告らは上告断念を求める署名を提出。広島県の湯崎英彦知事と広島市の松井一実市長も上告しないよう国に要請。この日、官邸に再度要請しました。

 菅首相の表明について、「黒い雨」訴訟原告団長の高野正明さん(83)は、約40年以上の取り組みを振り返り、「本当によかったと思います。一審、二審判決と上告断念を求める世論も広がり、上告断念を求めるネット署名も広がりました。2015年から始まった“黒い雨”訴訟はこれまでに19人が亡くなりました。原告84人は“黒い雨”の代表であり、全ての被害者が救済されることが本旨です」と語りました。


pageup