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2021年7月23日(金)

消えた「復興五輪」

開催意義示せず

コロナ対策より“成功”優先

 政府が掲げてきた東京五輪・パラリンピック開催の意義が次々に破綻しています。新型コロナ危機のもとで、開催の意義を示せない五輪は中止すべきです。

 菅義偉首相は8日の記者会見で、「新型コロナの中での安心・安全な大会の実現、人類が困難に直面する中、世界が一つになれる、力を合わせてこの難局を乗り越えていることを世界に発信するいい機会だ」と語りました。しかし、選手や大会関係者からは連日、陽性者が出ており、菅首相の言う「安全・安心」な五輪はすでに破綻しています。

 菅政権は今年に入り3度の緊急事態宣言を発令し、国民は142日にわたり緊急事態宣言下での生活を余儀なくされています。菅政権はこれまでも感染対策に失敗しているのです。国民に“自粛”を迫る一方、五輪を特別扱いする菅政権に国民からは怒りの声が上がっています。

 日本政府は当初、東日本大震災の復興を後押しする「復興五輪」と位置付けてきました。ところが菅首相は東日本大震災から10年を迎えた3月11日、献花式で「復興五輪」に一切言及しませんでした。復興五輪を象徴づけるために福島県での先行開催となりましたが、無観客となり、開催意義そのものが問われます。

 6月9日、党首討論で日本共産党の志位和夫委員長は菅首相に、五輪開催で新たな感染拡大の波が起こる危険があり、新たな感染拡大が起これば重症者が増え、亡くなる人が増える危険があると指摘し、「そうまでして開催しなければならない理由は何か」と質問しました。しかし、菅首相は五輪開催の意義を答弁できず、根拠のない「安全、安心な大会の実現を」とくり返すだけでした。国民の命を守ること以上の意義などあるはずがありません。

 五輪開催に固執する菅政権からは、五輪を“成功”させ、祝祭ムードの中で総選挙を行い、政権維持を図りたいという“政治的意図”が透けて見えます。まさに五輪の政治利用と言わざるを得ません。丸川珠代五輪担当相は20日の記者会見で、今後観客の上限が決まるパラリンピックについて「状況が許せば観客を入れたい」と述べ、コロナ対策より五輪の“成功”を優先する姿勢を示しました。

 開催意義を示せず、政治的思惑での五輪開催など中止すべきです。(目黒健太)


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