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2021年7月22日(木)

主張

コロナ禍の五輪

命危険にさらす暴挙許されぬ

 コロナ感染急拡大に対する国民の不安と危機感が広がる中で、東京五輪の一部の競技が始まりました。東京に4度目の緊急事態宣言が出ても新規感染者の増加に歯止めはかからず、入国した選手・関係者への感染対策「バブル」方式の欠陥もあらわになっています。このままでは、五輪を起点にした変異株の爆発的拡大という悪夢が現実のものになりかねません。命を危険にさらす東京五輪・パラリンピックは今からでも中止すべきです。そしてコロナを封じ込めるために総力をあげる時です。

開催の前提成り立たない

 「不安を感じている…87%」(「東京」)、「安全、安心の大会はできない…68%」(「朝日」)―19日報じられた世論調査の結果です。開催「反対」も55%(「朝日」)と依然として多数です。開幕目前の五輪について、開催国の国民の多くが不信を抱き、懸念を表明していることは、菅義偉首相がうたう「安心・安全な大会の実現」の前提が崩れていることを示しています。

 都内の感染状況に専門家は強い警告を発しています。都「専門家ボード」座長の賀来満夫・東北医科薬科大学特任教授は「これまでで最大の危機を迎えている」「1日の感染者数が3000人を超える感染がおこりえる…全国に波及する可能性も」(20日のNHK)と指摘しました。政府の対策分科会の尾身茂会長も同日、日本テレビの番組で8月第1週に3000人近くになる見通しを示しました。

 もはや「第5波」の到来です。東京だけでなく首都圏3県の感染者も増加を続け、緊急事態宣言発令に匹敵する水準です。重症者が急増し、医療機関がひっ迫する危険が目の前に迫っているといっても過言でありません。

 この時期に、世界最大級のスポーツイベントである五輪を行うことは、国民の安全を置き去りにした暴挙という他ありません。どのような感染対策を講じても、開催すれば感染リスクは必ず高まると、専門家は指摘しています。政府が有効策として強調する「バブル」方式も大量の選手・関係者が入国するにつれて、穴だらけの実態が浮き彫りになっています。

 そもそも緊急事態宣言で国民に外出やイベント開催の自粛と我慢を求めておきながら、五輪はあくまで開催するというのは完全に矛盾したメッセージです。政府の呼びかけは国民の心に響かず、協力を得ることはできません。酒類を提供する店の営業規制を狙った強権手法や、ワクチン供給の大混乱などは批判を浴びています。菅政権の対応は行き詰まっています。五輪中止を決定し、対策を根本から練り直すことが急務です。

英知集め感染封じ込めを

 日本共産党、立憲民主党、国民民主党、社会民主党は、コロナ・五輪対応のために臨時国会を直ちに開くことを菅政権に求めました。憲法53条に基づく衆院議員4分の1以上の連名による要求です。内閣には憲法上の国会召集義務があります。昨年の那覇地裁の判決でも「法的義務」と認めています。拒むことは明白な憲法違反です。

 コロナが重大局面を迎えているもとで国会が「夏休み」ではすまされません。政府の誤りと欠陥をただし、国民の命と暮らしを守るための有効な対策を推進するために、国会で徹底的に議論し、英知を出し合うことが不可欠です。


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