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2021年7月7日(水)

五輪期間に臨時列車

広範囲に人の流れ促進

JR東4900本 感染防止に逆行

 東京五輪・パラリンピックの開催にともない、東京都と大会組織委員会の要請に応じて19の鉄道事業者が臨時列車を運行します。国土交通省は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、「移動自粛」を呼びかける取り組みを続けています。臨時列車の運行は人の移動を促す計画で、国交省の方針に反しています。(丹田智之)


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 五輪開催期間(23日~8月8日)の臨時列車は、JR東日本や首都圏の大手私鉄をはじめ、沿線に競技会場がある札幌市営地下鉄や埼玉高速鉄道、鹿島臨海鉄道などが運行を計画しています。

 五輪開催による人の流れは広範囲におよびます。サッカー会場の宮城スタジアム(宮城県利府町)や、野球・ソフトボール会場の福島県営あづま球場(福島市)の観客を輸送するため、東北新幹線(東京―盛岡間)、山形新幹線(福島―新庄間)でも、臨時列車が運行されます。

 国立競技場での開会式が午後8時~11時半に予定され、18競技の一部の試合は午後10時をすぎても行われます。

深夜にも運行

 JR東日本は、五輪の期間中に約4900本もの臨時列車を計画。首都圏の21路線では、競技終了の時間帯に合わせて深夜に運行します。

 都心から郊外に向かう小金井駅(栃木県下野市)、籠原駅(埼玉県熊谷市)、成田駅(千葉県成田市)、木更津駅(同県木更津市)、国府津駅(神奈川県小田原市)までの列車は、午前2時半すぎに着きます。

 通常は午前0時半~1時ごろが終電の山手線は、全区間で午前2時ごろまで運行します。

 東京メトロと都営地下鉄の全線、東急、東武、西武、京王、小田急、京急などの一部の路線でも通常の終電より遅い時間に臨時列車を運行します。

 競技会場がある北海道、東京、埼玉、千葉、神奈川の5都道県は、まん延防止等重点措置が継続中です。東京は感染拡大が続いており、重点措置解除の見通しはたっていません。

「自粛」を無視

 国交省の新型コロナウイルス感染症対策本部は大臣指示(6月17日付)で「まん延防止等重点区域においては、リバウンドを決して起こさぬように、都道府県間の不要不急の移動は極力控える」などの取り組みを継続する方針を徹底。同区域にある駅などで「移動自粛の呼びかけ」を続けるよう指示しています。

 国交省鉄道局危機管理室の担当者は「大臣指示を受けて鉄道事業者に対し、駅でのアナウンスなどをお願いしている」と説明します。

問われる開催

 東京都と組織委が要請した大会期間中の臨時列車の運行は、国交省の方針を無視した計画です。人の流れを促進し、感染拡大防止の取り組みに逆行する五輪開催そのものが厳しく問われています。


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