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2021年7月7日(水)

主張

2021年世界大会

今こそ核兵器禁止条約を力に

 史上初めて核兵器を違法化した核兵器禁止条約が成立してから7日で4年です。今年1月22日に発効した後も、批准国は54、署名国は86へと広がっています。このもとで被爆76年の8月に広島、長崎の両市を中心に開かれる原水爆禁止2021年世界大会に期待と注目が集まっています。

偶発的な衝突への警告

 南シナ海での衝突を発端に核兵器の応酬にエスカレートする米中戦争を描いた小説『2034』(未邦訳)がアメリカで話題になっています。共著者のジェームズ・スタブリディス氏は元北大西洋条約機構(NATO)軍最高司令官です。同氏は「核の使用まで踏み込んだら勝者はいません」と述べ、小説は「警告」だと語っています。

 アメリカと中国、ロシアなどの核大国が対立し、緊張を高めれば、偶発的であっても核兵器による衝突を引き起こしかねません。核兵器が使われれば破滅的な結末になる―このことに危機感を強めた非核保有国と、被爆者をはじめとする市民社会が共同で生み出したのが核兵器禁止条約です。

 核保有国などが参加していないことで、禁止条約の有効性を疑問視する声もあります。しかし、締約国が増えていけば、条約の国際法としての権威は高まります。禁止条約の第1回締約国会議(22年1月)で議長を務める予定のオーストリアのアレクサンダー・クメント大使は6月、軍縮関係の国際学術雑誌の共同論考で、条約参加を世界中に広げることは、「条約の規範および原則の力を最大化し、核保有国とその依存国の政策に影響を与える戦略」だと述べています。条約支持の国を多数にすること自体に大きな意義があります。

 20年の国連総会では、条約参加を訴える決議に加盟国の3分の2を超える130カ国が賛成しました。支持する国を広げ、核固執勢力に迫っていくことが重要です。

 アメリカの同盟国にも動きが出ています。NATO本部のあるベルギーでは連立政権が、禁止条約で核軍縮を進めることを検討する方針を打ち出しました。NATOの一員であるノルウェー議会の第1党も、条約署名を目標に掲げました。オーストラリアでは、条約参加をめざす議員連盟が議会の過半数に達しています。変化の土台は条約参加を求める世論です。

 日本の世論調査でも6~7割が条約参加を支持しています。政府に署名を求める意見書も、全自治体の3割以上の584で可決されています(1日時点)。ところが菅義偉政権は、アメリカの「核の傘」を理由に、参加を拒んでいます。世界的な流れを妨害する、被爆国にあるまじき態度です。

 日本の反核運動の国際的責務はこれまで以上に大きくなっています。国際会議(8月2日)を皮切りに始まる原水爆禁止世界大会(6日にヒロシマデー集会、9日にナガサキデー集会)、同時に行われる国際的な草の根の共同行動「平和の波」の成功が強く期待されます。

参加する政権の樹立を

 菅政権の「核抑止力」依存姿勢は、北東アジアでの核使用の危険を高め、国民の命と安全を危険にさらすものでしかありません。

 来たる総選挙で市民と野党の共闘の勝利、日本共産党の躍進を実現し、禁止条約に参加する野党連合政権を樹立しましょう。


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