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2021年6月23日(水)

国会あざむく改ざん

森友疑惑「赤木ファイル」開示

財務省の狙い鮮明に

 学校法人森友学園をめぐり財務省に公文書改ざん作業を強制され、自ら命を絶った近畿財務局職員赤木俊夫さん=当時(54)=が改ざん過程をまとめた文書(赤木ファイル)を、国は22日、遺族側に開示しました。遺族側弁護団が同日、文書を公開。その内容から、国会や会計検査院、検察をあざむこうとした財務省の狙いが浮かびます。(取材班)


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(写真)財務省による公文書改ざん指示の経緯を記した「赤木ファイル」の冒頭文書

 赤木さんの妻雅子さんが、昨年3月に国と佐川宣寿・元財務省理財局長に損害賠償を求めて大阪地裁に起こした訴訟の中で、国にファイルの開示を求めていました。

 公開されたファイルは500ページ超。改ざんの過程を時系列でまとめたものや、理財局と近畿財務局との間で送受信されたメールなどが含まれます。

 財務省は、同学園との国有地取引に関する14件の決裁文書から、安倍晋三前首相や妻昭恵氏らの記述を削除していました。

 冒頭の赤木さんによると見られる文章は、「本省において、…議員説明(提出)用に…相手方(森友)に厚遇したと受け取られるおそれのある部分は削除するとの考え」と改ざんの目的に言及しています。

 「佐川局長から国会答弁を踏まえた修正を行うよう指示(調書の開示により新しい情報を与えることがないよう)があった」(2017年3月20日付)との記述もあり、政府が当時、佐川氏の答弁以上の情報を野党側に与えまいとしていたことが読み取れます。

 同4月10日の日付では「会計検査院、地検(特捜)への提出資料のために、本省…の指示を受け、次長自ら土日の間修正」との記述も。17年3月25日に本省から近財の担当者向けに送信されたメールには、「今後(会計検査、開示請求、国会、議員等)、外部に提示する可能性がある文書セット(案)」との表現も。会計検査や検察による捜査も念頭に置いて改ざん作業が進んだことが分かります。

 森友疑惑が問題化した17年2月、首相だった安倍氏は国会で「私や妻が関係していたら総理大臣も国会議員も辞める」と答弁。訴状などによると、赤木さんはこの直後から当時の上司の指示で文書を複数回改ざん。改ざんが報道で発覚した直後の18年3月に自宅で亡くなりました。

 その後、元上司が雅子さんに「ファイル」の存在を告げ、「本省からの指示、修正箇所、改ざんの過程が一目でわかるよう整理されていた」と話したといいます。

 国は雅子さんの提訴から1年以上にわたって文書の存否すら回答しませんでしたが、今年5月、裁判所の求めで一転、存在を認めていました。


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