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2021年6月11日(金)

治療遅れ死亡40件 昨年

経済的理由 コロナ追い打ち

医療諦めさせない対策を

民医連調査

写真

(写真)調査を発表する全日本民医連の人たち=9日、東京都内(全日本民医連提供)

 全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)は9日、経済的な理由で治療が遅れ死亡した事例が2020年の1年間で、少なくとも40件あったという調査結果を発表しました。うちコロナ禍の影響を受けた事例は20%の8件でした。調査は20年1月1日~12月31日に行われ、全日本民医連加盟の全国706事業所が対象です。

 外国人に日本語を教える50代男性は、コロナで仕事がなくなり、無収入になりました。糖尿病があり、インスリン治療をすすめられていましたが、中断し、1カ月ほど内服をしていませんでした。

 嘔吐(おうと)や、脱水症状が出て救急搬送されましたが入院を拒否。その後、死亡しているところを両親が発見しました。

 60代男性は、体調を崩し50歳ごろに退職し貯金を取り崩しながら妻の12万~13万円のパート収入で生活をしていました。04年に腹部の張りを感じて、受診し、胃がんなどが確認されました。化学療法をしていましたが、18年以降は受診しませんでした。

 20年に滞納していた保険料を払い、国民健康保険証をもらえたのでと、本人から受診意向の連絡がありました。翌日受診し、入院しましたが、大腸がんの再発、肺移転などが見つかり、3カ月後に亡くなりました。

 全日本民医連の岸本啓介事務局長は、非正規雇用など経済的不安定層にコロナが追い打ちをかけていると強調。「経済的な負担が確実に医療へのアクセスを困難にしている」と指摘し、政府が成立を強行した「高齢者医療費2倍化法」などにふれ「凍結をしていただきたい」と求めました。

 久保田直生常駐理事は、低所得者などに医療機関が無料または低額な料金で診療を行う「無料低額診療事業」の周知が不十分だと指摘。医療を諦めさせないような対策や、困窮に陥っても、医療が受けられるような施策をとるべきだと訴えました。

 山本淑子事務局次長は、民生委員や地域包括支援センターがコロナ以前は地域で困窮者の情報をつかみ民医連に紹介していたと述べ、コロナで「把握できていない事例があるのではないか」と強調しました。


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