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2021年6月6日(日)

社会は変わるし、変えられる――志位さんと語る学生オンラインゼミ(6)

政権協力で合意なら新局面が

野党共闘

到達点と展望をどう見ているか

 オンラインゼミの後半では、事前に寄せられた質問に志位氏が答えました。

 質問 野党共闘はどこまで進んでいますか。野党共闘で新しい政権が実現し、意見が全く合わない問題が発生した場合にどのように対応しますか。さらに共通政策が実現した後、政権はどうしますか。

写真

(写真)会談する志位和夫委員長(左)と立憲民主党の枝野幸男代表=4月27日、国会内

 志位 ずいぶん先のことまで考えている質問ですね。

 まず、どこまで進んでいるかということですが、メディアなどは野党間に違いがあると針小棒大に書いて、「うまくいってない」という調子のものが多いんですが、私は、この間、共闘を前に進めるうえで大事な動きがあると思っているんです。

 4月25日に行われた北海道、長野、広島――三つの国政補欠選挙・再選挙で、野党は3戦3勝でした。国民のなかに菅政権への怒りや批判がぐっと広がっている、野党が候補者を一本化してたたかえば勝てる、そのことが示されました。

 それを踏まえて4月27日に私と立憲民主党の枝野代表との党首会談を行いました。党首会談では、「総選挙での協力にむけての協議を開始する」ということで一致をしました。とても重要な確認で、これも一歩前進だと思います。

今後、共闘を前に進めていくうえで何が大切か

 志位 それでは今後、共闘を前に進めていくうえで何が大事か。

図

 (パネル7)これを見てください。市民と野党の共闘をどうやって発展させるか。日本共産党の立場を簡単にまとめました。

 まず「共闘の基本的姿勢」については、「対等平等」「相互尊重」を貫く。当たり前のように見えますけれど、この姿勢を貫いてこそお互いに力を発揮できますよね。共闘というのは、そこに参加するパーティーがみんな躍進する――ウィンウィンになることで、はじめて力を発揮することができます。そういう立場でやっていきたい。

 次に、「協議していく中身」ですが、私たちとしては、「共通政策」「政権のあり方」「選挙協力」、この三つの分野で話し合いを進めていきたい。これが党首会談で私が提起したことです。この三つの分野のどれも大事なんだけど、とくに「政権のあり方」――自公政権を倒した後にどういう新しい政権つくるか、これについて前向きの合意をつくることが、全体を前に進めるうえで画期的な力になると考えています。

 その政権についてよく聞かれるのは、「閣内協力か、閣外協力か」という質問なんですが、私は、「どちらもありうる」、「一致点を大切にして対応」すればいいと言っています。「閣内であれ、閣外であれ、政権協力で合意がつくられれば、共闘の画期的な新局面が開かれる」。このことを強調したいと思います。

 閣内協力であれ、閣外協力であれ、どちらであっても、菅政権を打倒した後に、こういう新しい政権をつくるという、日本共産党を含めた政権協力の合意ができれば、共闘の画期的な新局面が開けてきます。その場合は「共通政策」だって、政権が実行する政策になるでしょう。「選挙協力」だって、うんと力が入りますよね。何よりも新しい政権の姿が見えてきたら、国民のみなさんのなかに大きな変化が起こると思う。これならばまかせてみようという大きな変化が起こってくると思います。いろいろと困難はあるでしょうが、そういう方向に向けて努力中というのが、今の到達点です。

「意見が合わない場合はどうするか」――一致点を大切にして結束し、実行していく

 志位 質問に戻りますが、「意見が全く合わない場合はどうするのか」という質問ですが、私たちとしては不一致点は新しい政権に持ち込むことはしません。

 たとえば、日米安保条約を廃棄して、本当の独立国と言える日本をつくるというのは、私たちが党綱領に掲げている大方針です。このことを党独自の主張としては大いに訴えていきますが、それを新しい政権に持ち込むことはしません。自衛隊に対する政策、天皇の制度に対する政策などでも、党独自の方針や立場を持ち込むことはしません。

 新しい政権はあくまで一致点で結束し、実行していく。すでに5年半以上もの期間、共闘を積み重ねていますから、この共闘は、まず安保法制廃止と立憲主義の回復を「一丁目一番地」として始まったのですが、それだけじゃなくて、暮らしと経済、民主主義、ジェンダー平等、米軍基地、原発、いろいろな分野で一致点が広がっていますから、そういう一致点を大切にして政権を発展させていきます。

「共通政策が実現した後、政権はどうするか」――国民と相談しながら進む

 志位 質問では最後に「共通政策が実現した後、政権はどうしますか」とあります。ここまで心配してくれてうれしいんですけども、これはだいぶ先の仮定の話ですから、いまから言うのはちょっと早いと思いますし、やりながら考えていきたいと思います。

 ただ、一般的な立場を述べるとしますと、国民のみなさんへの公約を果たしたら、次にどういう道を進むかは、国民と相談しながら進める――つまり解散・総選挙で国民の審判を仰いで、国民多数の意思を踏まえて次の道へ進んでいくというのが、民主政治の常道ではないかと思っています。

 共闘の前途については、だいたい今お話しした立場で頑張っていきたいと思っていますが、何しろ総選挙での本格的共闘は初めてであり、困難もたくさんあると思います。そのときに共闘を後押しする最大の力は、市民的・国民的な世論と運動なんです。若いみなさんが「野党は共闘」、「共闘して新しい政権」という声を、どんどんあげていってほしいと思います。

市民や青年の声でこそ共闘が進むことを感じたのは――安保法制反対のたたかいで

 中山 市民や青年の声でこそ共闘が進むっていうのはどんな場面で感じますか。

 志位 安保法制が強行採決された2015年の9月19日、そこにいたる時期に、私は、国会前の集会に何度も行きました。そこには若いみなさんが、たくさん詰めかけてきていて、最初は「戦争法案絶対反対」というコールだったんですけど、最後は「野党は共闘」というコールに変わっていきました。「志位さん頼みます。共闘でやってほしい」と、ずいぶんその場でも言われました。そういう声に背中を押されて、共闘の道に踏み出していったんです。

 やっぱり、共闘の力がないと、今の政治を変えられません。いろいろと立場に違いがあっても、それを横に置いて、今のここまで腐ってしまった政治を大本から変えるという点で力を合わせて頑張りたいと思っているんです。(つづく)


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