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2021年5月18日(火)

主張

ガザ武力攻撃

人道危機をつくる蛮行やめよ

 パレスチナのガザ地区などへイスラエルが大規模な攻撃を続け、子どもや女性を含む市民に多くの死傷者が出ています。衝突の直接のきっかけは、イスラエルによる東エルサレムへの国際法違反の入植拡大、パレスチナ人追い出しの動きに、パレスチナ側が強く抗議したことにあります。パレスチナの武装勢力ハマスによるイスラエルへのロケット砲撃は市民を巻き込んでおり、正当化できません。圧倒的な軍事力をもつイスラエルの攻撃は報道機関の入った建物にも及び、ガザの人道危機を一段と深刻化させています。直ちにやめるべきです。

違法重ねるイスラエル

 10日以降、ガザでの死者は190人を超え、イスラエル側は10人が死亡したと伝えられます。イスラエル軍は市民が住む地域の建物を空爆で壊滅させるなど攻撃をエスカレートさせています。

 ガザでは約200万人の住民が、以前からイスラエルが築いた壁の中に閉じ込められています。長期間の封鎖によって生活・医療物資は日常的に不足しています。数万人が新型コロナウイルスに感染しましたが、イスラエルはワクチンを行き渡らせていません。空爆によって医療体制は崩壊状態です。もはや一刻の猶予も許されません。

 イスラエル軍によるガザ攻撃はこれまでの国際法違反にさらに違反を重ねる行為です。イスラエルはヨルダン川西岸地区でユダヤ人入植地を拡大しています。

 国連人権理事会が3月に採択した決議は、イスラエルによる数々の国際法違反を非難し、違法行為の停止、占領地からの撤退、ガザ封鎖の即時解除を要求しました。無視することは許されません。

 国連安全保障理事会は16日に会合を開きましたが、法的拘束力を持つ安保理決議を採択できませんでした。毎年30億ドル(約3300億円)といわれる巨額の軍事援助を供与してイスラエルを支える米国が反対しているからです。自国の利益に合わない場合は重大な人権侵害があっても沈黙する米国の「二重基準」が国際社会の結束を妨げています。

 特にトランプ前政権がイスラエルの国際法違反を容認したことは重大です。前政権は、東エルサレムを含むエルサレム全体をイスラエルの「首都」と認め、米大使館を同地に移転しました。昨年、同政権が発表した中東構想は、ユダヤ人入植地をイスラエル領に編入するとしています。バイデン政権はこの政策を変えていません。イスラエルの違法行為を正すために撤回すべきです。

日本の態度も問われる

 パレスチナ問題の公正な解決のためには、イスラエルの占領地撤退、パレスチナの独立国家樹立を含む民族自決権の実現、イスラエルとパレスチナ双方の生存権の承認による2国家平和共存が欠かせません。イスラエルとハマス双方が攻撃を停止するよう国際的な働きかけが急務です。

 日本は外務報道官談話で「深刻な憂慮」を表明しました。ただイスラエルに対しては2018年、安倍晋三首相(当時)の訪問で安全保障を含む戦略的協力関係の深化で合意し、外務・防衛当局者協議を立ち上げました。イスラエルによる国際法違反に断固とした態度を貫くかが問われます。


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