しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年5月13日(木)

デジタル関連法 伊藤氏反対討論 要旨

参院本会議

 日本共産党の伊藤岳議員が12日の参院本会議で行ったデジタル関連法に対する反対討論の要旨は次の通りです。


 デジタル技術の発展と普及によって、行政等の業務や手続きを効率化し、国民生活の利便性を向上させることは大切です。しかしそれは、行政機関が保有する膨大な個人情報の利活用を、国民自らが監視・監督できる法整備、体制整備と一体に行われなければなりません。

 本法案には、個人情報のビッグデータ化、顔認証などAI(人工知能)の普及のもとでの個人情報保護、個人の基本的人権尊重のための新たな規定も、その考え方さえも欠落しています。行政機関が特定の目的のために集めた個人情報を「もうけのタネ」として、本人同意もないままに目的外利用、外部提供し、成長戦略へ、企業の利益につなげようとするものです。

 反対理由の第1は、個人情報保護をないがしろにし、プライバシーを侵害するおそれがあるからです。

 すでに国や独立行政法人は、大量の個人情報ファイルを非識別加工し、民間利活用の提案募集にかけています。横田基地騒音訴訟の原告の方々の情報や国立大学の学生の家庭事情、受験生の入試の点数まで、データ利用したい民間事業者からの提案募集の対象としてきました。プライバシーにかかわる情報を本人が知らぬ間に行政から民間へデータ提供するのがこの制度です。

 さらに本案は、個人情報保護法制の一元化により、地方自治体が独自に制定する個人情報保護の条例にも縛りをかけるものです。匿名加工した個人情報を外部提供する「オープンデータ化」を都道府県や政令市に義務化し、条例による個人情報の「オンライン結合の禁止」を認めないとしています。

 個人情報保護の仕組みを切り捨て、市民が築き上げてきた保護のための制度を壊すことは許されません。

 第2は、地方自治に対する侵害です。

 本案では、国と自治体の「情報システムの共同化・集約」を掲げており、地方自治体は、国がつくる鋳型に収まる範囲の施策しか行えないことになりかねません。

 また、強力な権限をもつデジタル庁は、国の省庁にとどまらず、地方自治体や準公共部門に対しても予算配分やシステムの運用について口を挟むことができるようになります。

 第3に、国民にマイナンバー制度を押しつけようとしていることです。

 本案では、個人の預貯金口座のマイナンバーひもづけなどを盛り込んでいます。マイナンバー制度は、国民の所得、資産、社会保障給付を把握し、国民への徴収強化と社会保障費の削減を進めるものです。そもそもマイナンバー制度は廃止すべきです。


pageup