2021年5月7日(金)
個人情報保護が後退
デジタル法案 参考人が懸念
参院内閣委
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参院内閣委員会で6日、デジタル関連5法案の参考人質疑が行われ、自治体の個人情報保護制度を国のルールと合わせていく個人情報保護法改定案について参考人から懸念の声があがりました。
NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は、改定案は現在の自治体の個人情報保護条例の水準より個人情報の取り扱い規制が緩いと指摘。多くの自治体が定める個人情報の本人からの直接収集の原則や、思想・信条・病歴などのセンシティブ情報(要配慮個人情報)の収集禁止の原則が無くなることなどへの懸念を示しました。
昨年政府の「個人情報保護制度の見直しに関する検討会」の委員を務めた東京大学大学院の宍戸常寿教授も、法案がある種の条例から見ると個人情報保護の切り下げになるのではとの懸念について「十分傾聴に値する」と指摘。「適切な運用が図られるよう注視すべきだ」と述べました。
日本共産党の田村智子議員が、特定の個人の特徴をデータの自動処理で推定するプロファイリングに対する規制について尋ねると、宍戸氏は、保護法では明確な権利として定義されていないので法的な検討が必要だとする立場を示しました。
法案で、個人情報を匿名化した匿名加工情報の民間利活用案の募集を都道府県や政令市に義務付けることについての質問には、三木氏が「本来自治体は、何らかの業務上の必要があって個人情報を扱っているのに、そもそもの業務に支障や不信感を抱かれるようなデータの利活用は本末転倒だ」と述べました。