しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年5月2日(日)

変異株 政府、実態把握せず

厚労省発表数、自治体と乖離

図

 厚生労働省が毎週水曜日に公表している全国の変異株陽性者数が、実態よりも少ないことが分かりました。感染力の強い変異株の感染拡大の実態把握が不正確で過小評価となっていることは重大です。

 4月28日に厚労省が発表した27日時点の変異株の陽性者数は1万102件。ところが、全国の都道府県が集約しホームページなどで発表している変異株陽性者数を集計すると約1万8900件に上ります。厚労省発表の数値はこれより約8800件も少なく、実態とは大きく乖離(かいり)していることが明らかです。

 3度目の緊急事態宣言が発令されている大阪でも両者の数値の開きは顕著で、27日時点の大阪府発表の数値が累計6027件だったのに対し厚労省発表は2045件と3分の1にすぎません。

 なぜ、厚労省発表の数値と自治体発表の集計値が異なるのか。現在、変異株陽性者数などのデータは、厚労省の要請により、感染者管理システム(HER―SYS)に各自治体の担当者が入力することで集計されています。自治体が把握した数値をシステムに入力するまでの時間差から集計数に差が出ているものとみられます。厚労省の担当者も、入力遅れが集計値の違いが生じる原因と説明。「ボトルネック(支障)を解消する必要はある」と認めます。

 感染力が強く感染拡大の速度が速い変異株への対策はスピードが決定的です。

 集計値の問題に加え、新規感染者に対する変異株検査の実施率にも問題があります。直近の1週間(4月12~18日)を見ると、いまだに全国平均で新規感染者の約32%にしか変異株検査が行われておらず、政府目標の4割にすら届いていません。都道府県別では東京が31%、大阪は27%にとどまっています。

 検査結果を速やかに集計し迅速な対応を検討するとともに、新規感染者の全数に検査を行う体制を急いで構築すべきです。


pageup