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2021年4月27日(火)

小池書記局長と山添議員対談(中)

少年法改定案・入管法改定案考える

人間が見捨てられている

党 YouTubeチャンネル

 もう一つの重要法案が入管法改定案です。同法案について、ネット番組「ユーチューバー小池晃」で日本共産党の小池晃書記局長と山添拓参院議員が詳しく解説し、反響を呼んでいます。

非人道的扱い

 外国人が日本に滞在するには「在留資格」が必要ですが、迫害から逃れてきたり、日本にすでに家族がいるなど在留資格を持たずに日本にとどまっている外国人がいます。山添氏は、日本の出入国管理庁が在留資格のないすべての外国人を入管収容施設に収容する「全件収容主義」をとっている問題を指摘しました。

 山添 入管収容施設は本来、在留資格がない外国人を本国に送還するまでの待機施設。一時的な滞在施設の位置づけでしたが、今では長期間、半年や1年、長い人では10年を超えて収容される状況があります。

 小池 退去強制が出た人の9割は帰国しているんですね。だから、いま収容されている方は、本国に帰れば命の危険にさらされてしまう。あるいは、日本に家族がいるなど、本当に帰るに帰れない人たちが残っているということなんですね。

 とりわけ、入管施設での被収容者への非人道的な取り扱いが問題となっています。東京入管では今年2月、新型コロナウイルスのクラスターが発生。3月には、名古屋の入管施設で、スリランカ人女性が体調不良を訴えても満足な治療を受けられず死亡する事件も発生しています。

 山添 名古屋入管で亡くなられた女性は英語教師の夢をもって来日したんですが、親からの仕送りがなくなって学費が払えなくなってオーバーステイとなったんですね。しかも交際男性からDV被害を受けており、その被害を警察に訴えたら、在留資格がないことが発覚し、収容された。本来保護すべき対象でした。

 小池 この女性は、点滴をしてほしいと何度も言っていたのに、しなかった。本当に、日本の入管行政の人権蹂躙(じゅうりん)ですよね。外国人だというだけで、人間が見捨てられているんですよ。

刑事罰で威嚇

 では、今国会で審議されている入管法改定案では、現行の入管行政の問題点を改善するものになっているでしょうか―。番組では、改定案に盛り込まれた四つの問題点が焦点となりました。

 一つは、退去強制手続きの罰則を強化し、刑事罰で威嚇して送還を強制しようとする点です。

 山添 本国に帰れない事情がある人に、さらに施設で収容されるか、それを拒めば刑事罰だという制度にしようとしている。

 小池 そうすると、収容を拒めば刑事罰で刑務所に入れられる。刑務所を出ると収容される、また拒むと刑務所と、無限に入管施設と刑務所を繰り返し入れられ続ける。ひどい話ですね。

申請の権利制限

 二つ目は、難民認定申請の権利を大幅に制限しようとしていることです。日本の難民認定率は0・4%と異常に低いにもかかわらず、その問題には何ら手をつけていません。

 山添 日本の難民認定の在り方が根本的に問われているのに、そこは改めずに、難民申請を2回やってダメだったら、3回目はもう難民として審査しないという仕組みを入れようとしている。

 小池 なぜ3回なんですか。まったく根拠ないですよね。

 山添 1回できちんと審査しているなら、まだいいですよ。でも、その人の本国の事情やどういう迫害を受ける可能性があるか十分な調査をしていない。

 小池 現地で、反政府運動のリーダーをやっていた人でないと、日本の難民認定は受けられないと聞いたけれど実態はどうなのですか。

 山添 実態としてはリーダー格でなければ、認められません。だいたい、難民申請をしている人の送還を止めることはノン・ルフールマン原則という国際ルールです。迫害を受ける恐れのある地域へ難民を送り返すのは禁じられています。(改定案は)それをかなぐり捨てるかのようなひどい話です。(つづく)


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