2021年4月26日(月)
所有者不明土地の解消 山添氏
権利制約の範囲が過大
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民法改正成立
所有者不明土地の解消をめざす民法改正が21日の参院本会議で採決され、全会一致で可決、成立しました。日本共産党の山添拓議員は20日の参院法務委員会で同法について質問しました。
同法では相続開始から10年を経過したときは特別受益や寄与分(相続人が受けた贈与や被相続人に生前療養や看護した貢献)について遺産分割で主張できないとしています。
山添氏は「所有者不明土地の解消は相続人のためというより、公益的な目的だ。そのために相続人の権利を制約し、制約は土地だけでなく建物や預貯金など遺産全体に及ぶ。権利制約の範囲が大きすぎる」と指摘。10年の経過後も遺産分割協議は可能であり、調停では、資料や証拠がある場合、排除する必要はないと主張しました。法務省の小出邦夫民事局長は「相続人、関係者全員が合意すれば、遺産分割は可能だ」と答弁しました。
罰則を科すのは慎重に
山添拓議員は13日の参院法務委員会で、所有者不明土地の解消をめざす民法改正案について質問しました。
同法案は、新たなに「相続申告登記」制度を新設。相続登記を義務化し、正当な理由なく相続登記をしない場合10万円の過料を科すものです。
山添氏は「違反の判明は(相続人が)登記を申請するときであり、法律の目的の所有者不明が解消する。そのときに罰則を科すのは慎重でなければならない」と質問。法務省の小出邦夫民事局長は「指摘の通り。個々の事案に応じて登記官が事情を聞いて、勧告し、正当な理由が認められない場合に過料を科す」と答弁しました。
山添氏は「最初の相続人、次の二次相続人にも登録義務は発生するか」と問うと、小出局長は「二次相続、三次相続も含む」と答弁。山添氏は、罰則付きの義務化にもかかわらず条文上明らかでないと指摘しました。
山添氏は「申告登記のみで所有者不明土地の状態が解消されるわけではない」とただしました。上川陽子法相は「申告登記のみで問題が解決するわけではない。遺産分割が行われ、登記に適切に反映されることが改正の趣旨に沿うものだ」との認識を示しました。