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2021年4月20日(火)

最賃 引き上げが焦点に

全労連「一律1500円」

国民要求受け財界の一部も声

 最低賃金の改定審議が迫るなか、コロナ禍こそ最賃を大幅に引き上げ、地域間格差の是正を求める声が高まり、政府・財界からも抑制論の一方で引き上げ論があがっています。(田代正則)


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(写真)オンラインも交えて最賃引き上げを訴えるエッセンシャルワーカーの人たち=15日、厚労省内

 全労連・国民春闘共闘は15日、厚労省で会見し、医療・介護・福祉・保育など国民生活を支える「エッセンシャルワーカー」が最賃の全国一律制、時給1500円と中小企業支援を訴えました。

人材の流出も

 介護福祉士の男性(39)=東京医労連=は、介護は全産業平均で賃金が低く、「最賃を引き上げ、賃金を底上げしなければ人材が流出して未来がない」と訴えました。

 山形県の生協労連・共立社労組の女性(45)は、「山形の最賃は793円。職場で時給810円まで引き上げたが、職員募集しても隣の宮城県(最賃825円)などに流出してしまう」と述べました。

 全労連・国民春闘共闘の春闘回答集計(9日発表)では、正社員の賃上げは月4896円で昨年を52円上回っているものの、非正規雇用労働者の時間額引き上げは14・9円で昨年の26・8円から落ち込んでいます。昨年、財界と安倍前政権が最賃抑制を主張して目安が示されず、全国平均1円増にとどまったことが影響しています。

 これに対し日本商工会議所は15日、昨年に続いて今年も最賃を改定なしとするよう政府に要望しました。「雇用の維持」を理由にしていますが、中小企業への支援と一体で行えば雇用も守られ、経済再生にもつながることは無視し、抑制だけを主張しています。

意見書を提出

 しかし、財界からも最賃引き上げ論があがりはじめています。

 経団連の中西宏明会長らが3月22日の経済財政諮問会議で、「東京一極集中是正と活力ある地方の実現」と題した意見書を提出。「最低賃金が低い地域での引き上げが雇用増に寄与した」「地方の最低賃金のボトムアップ」と提案しています。

 最賃が「感染症拡大のもとで弱含みなアルバイト・パート時給を下支え」していると評価しています。

 菅首相も同会議で「より早期に全国平均1000円をめざす」と述べましたが、平均1000円の政労使合意を遅らせてきたのは安倍前政権と菅政権です。しかも、「平均」では地域間格差の抜本是正にはなりません。

 全労連が各地で取り組む最低生計費調査では、どこでも時給1500円以上が必要となっています。会見で全労連・国民春闘共闘の黒澤幸一事務局長は「コロナ禍で地方の消費購買力も低下し、中小企業の経営にも大きな影を落としている。最低賃金の地域間格差をなくし、抜本的引き上げで経済の健全な改善に向けて取り組むべきだ」と述べました。


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