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2021年4月8日(木)

主張

住生活基本計画

コロナの教訓をなぜ踏まえぬ

 菅義偉内閣が新たな「住生活基本計画」(2021~30年度)を閣議決定(3月19日)しました。計画は国の住宅政策の指針とされ、5年ごとに見直されています。コロナ禍は、失職と同時に住まいも失うなどの事態を招いた日本の住宅政策の脆弱(ぜいじゃく)性を改めて浮き彫りにしています。今回の計画は、そのさなかに議論されたにもかかわらず、住まいの安全網が機能不全に陥った政策への検証や反省がなく、解決方向も示されていません。コロナ禍の教訓を踏まえない計画では、国民に安全と安心を保障する住宅政策は実現できません。

安全網機能の強化不可欠

 計画は、コロナを念頭に置いた「社会環境の変化」の視点や、「新たな日常」に対応する「新しい住まい方の実現」の目標などを記しました。ただ、示された基本的な施策の主なものは住宅内テレワークスペースの確保などの推進です。コロナ禍での倒産や失業で家賃が払えず住まいもなくす人が相次いだ事態への言及はありません。コロナ禍の深刻な住宅事情を全く反映しない内容になったことは重大です。家賃やローンなど住宅費の負担が重くのしかかっている現実を直視し、家賃補助制度の創設を真剣に検討すべきです。

 ネットカフェで暮らす非正規労働者をはじめ低所得者が安定した住まいを確保できないことは、コロナの前から問題になっていました。高齢者が民間賃貸への入居を断られるケースも少なくありません。しかし、計画は抜本的対策に踏み込みません。目標の一つに「住宅確保要配慮者」(低額所得者、高齢者、障害者、外国人など)の住まい確保を掲げたものの、具体策は実態と見合っていません。

 例えば「セーフティネット登録住宅の活用」です。要配慮者を対象にした民間賃貸住宅を家主が地方自治体に登録する仕組みです。空き家対策と住宅困窮者対策を合わせた制度として17年に導入されました。全国で約39万戸が登録されていますが、そのうち家賃低廉化(家賃引き下げのため国が最大月4万円を家主に補助)の対象住宅はわずか約2800戸です。自治体にも家主にも財政的支援が貧弱な上、補助対象が借りた人でないことも広がらない要因の一つとされます。制度の大幅な改善なしに普及はできません。

 何より必要なのは国の住宅政策の根本的転換です。不安定雇用の広がりは高額ローンを組んで自宅を取得する政策の基盤を掘り崩しています。「自助」に基づく「持ち家取得」推進策を改める時です。

 公営住宅整備を後退させてきたことも問われます。「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸」(公営住宅法第1条)する公営住宅の新規建設は本格的に進みません。全住宅に占める公営住宅の割合は4%弱です。

公営住宅の抜本的拡充を

 公営住宅の入居基準収入を少し上回るために入れず、家賃が高くても民間で暮らす世帯が数多くあります。UR賃貸住宅も近隣の民間並み家賃とされたことで、低額所得者の入居を事実上閉ざしています。公営住宅増設をはじめ低所得者向けの政策拡充は待ったなしです。欧州諸国では持ち家市場が停滞するもとで、公共的な住宅を再評価し、供給を増やしています。日本も思い切った政策変更に踏み切るべきです。


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