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2020年12月11日(金)

主張

元農水相献金疑惑

徹底的に調査し国民に説明を

 2人の農林水産相経験者の現金受領疑惑が相次いで発覚し、大問題になっています。自民党の吉川貴盛衆院議員と西川公也元衆院議員が、大手鶏卵生産会社の元代表から現金数百万円をそれぞれ提供されていたという疑いです。吉川議員は自民党の役職を辞任し、西川元議員は、菅義偉政権の内閣官房参与を辞めました。しかし、両氏は説明から逃げています。菅政権も、国会での野党の追及に、東京地検特捜部の捜査中を理由に説明を拒んでいます。許し難い姿勢です。歴代農水相が関係する業界から裏金を受け取っていたことは深刻です。徹底追及が必要です。

典型的な贈収賄の疑い

 疑惑は、参院選広島選挙区での河井克行・案里夫妻の大規模買収事件の捜査で浮上しました。広島県福山市の鶏卵生産会社アキタフーズ元代表が事情聴取で話したとされます。他の複数議員にも現金提供したと報じられています。

 吉川議員は、農水相在職中(2018年10月~19年9月)に複数回、計500万円を受け取ったとされ、大臣室での授受もあったといいます。政治資金収支報告書に記載はなく、裏金が濃厚です。

 元代表は日本養鶏協会幹部として、家畜のストレスを減らす飼育方法の国際基準が、日本の養鶏業者の負担にならないよう政府に求める活動をしていました。農水相として請託を受けて金銭を受け取り、業界のために権限を行使したとすれば、典型的な贈収賄です。

 疑惑発覚後、吉川議員は「入院中」として国民への説明はありません。疑惑を持たれた場合、「みずから真摯(しんし)な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない」とする衆院政治倫理綱領にも反します。

 西川元議員は17年の総選挙で落選後、安倍晋三前政権で農業政策に関する助言役として内閣官房参与に就任し、菅政権でも再任されました。西川元議員には今年までの数年間で計数百万円渡されたとされます。今年7月にはアキタフーズから元農水省幹部職員とともに豪華クルーザーで接待されたとも報じられました。18年11月に元代表が当時の農水相、吉川議員を大臣室に訪ね要望した際、西川元議員も内閣官房参与として立ち会ったといいます。同参与は非常勤の公務員です。職務権限との関係などの解明は不可欠です。

 菅首相の姿勢も問われます。吉川議員は、9月の自民党総裁選で菅氏陣営の選対事務局長を務めました。二階俊博幹事長が率いる派閥の事務総長でもありました。官邸や党中枢と極めて近しい関係です。菅首相には党総裁として疑惑解明の責任があります。安倍政権時に違法献金で大臣を辞任した西川元議員を内閣参与にとりたてた安倍、菅両氏の姿勢も重大です。

菅首相は責任を果たせ

 吉川議員と西川元議員を国会に招致し、真相を語らせるべきです。閉会中審査の開催は急務です。

 「桜を見る会」前夜祭をめぐって安倍前首相の国会答弁がウソだったことが発覚したのに、解明に背を向ける菅首相の姿勢は、国民の声に反します。政府・与党は、安倍氏の国会での証人喚問に応じるべきです。河井夫妻事件でも菅首相は沈黙しています。「森友」「加計」「桜」をはじめ安倍政権下で続発した一連の疑惑の追及を終わらせることはできません。


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