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2020年12月1日(火)

主張

コロナ禍 女性支援

深刻な実態を直視し対策急げ

 新型コロナウイルス感染拡大が多くの女性たちを直撃しています。経済情勢の悪化や日常生活の激変による矛盾が女性に集中しています。女性の自殺者が急増していることは大問題です。感染急拡大の中で、暮らしと命を守る対策は一刻の猶予もできません。内閣府に設置された「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」も11月、支援や相談体制の強化などを政府に求める緊急提言を出しました。コロナに対しジェンダーの視点で解決をはかることが一層重要になっています。

見過ごせない自殺者急増

 コロナ禍での女性の苦境を端的に表しているのは雇用です。4月の雇用者数は男女とも激減しましたが、減少幅が大きいのは女性です。男性32万人減に対し、女性は2倍以上、74万人減です(緊急提言の資料)。雇用形態では、非正規雇用労働者の減少が顕著に示されました。女性の非正規の就業者が多い観光・宿泊・飲食業などが大打撃を受けたことの影響です。提言は「女性不況」と指摘します。

 「第1波」「第2波」がもたらした深い傷が続く中で「第3波」が到来し、営業自粛要請などが繰り返されていることは、女性にとっても極めて過酷です。雇用と営業を守るため、政府が現在行っている枠組みにとどまらず支援をさらに強めなければなりません。自粛要請と一体での補償を行うことは待ったなしです。ひとり親家庭の支援強化も急がれます。

 見過ごせないのが、自殺者の急増です。厚生労働省によれば、10月の女性の自殺者は852人と前年同月比で8割も増加しました。同時期の男性の増加率約2割を大きく上回ります。40代では2倍以上も増え、30代も9割以上増えました。東京都医師会は10月の記者会見で、女性自殺者の増加の背景として、生活苦や経済的不安の高まりとともに、対面での交流機会を失い、悩みを抱え込む自粛生活、リモートワークや休校による夫や子どもの在宅生活の広がりなどを挙げました。食事の用意をはじめ家事の負担が急増したり、気の休まる時間や居場所がなくなったりして、女性が精神的に追い込まれていることを示しています。

 日本では、普段から女性に家事や育児、介護の負担がのしかかっています。コロナがそれに拍車をかけ、女性が心身ともに疲弊し、命を絶つような事態にまでなっていることは放置できません。命を守るための相談体制の拡充・強化が緊急に求められます。同時に、女性に重圧がかかる日本社会の現状を変えるために政治が積極的な役割を果たすことが必要です。

 先の内閣府研究会の提言は、外出自粛がDVや虐待につながり、女性が被害を受けている実態の一端を浮き彫りにしています。5~6月のDVの相談件数は前年同月比の約1・6倍で、4~9月の性犯罪・性暴力の相談件数も前年同期比の約1・2倍です。従来の延長にとどまらない相談体制やシェルターの整備などは急務です。

社会の全構成員にも重要

 コロナ対策で女性が取り残されることがあってはなりません。今春、国連女性機関は、ジェンダー視点の対策は「女性のみならず社会のすべての構成員に良い結果をもたらす」と強調しました。菅義偉政権は、この指摘を真剣に受け止め、具体化を急ぐ時です。


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