2020年11月21日(土)
主張
男女共同参画計画
ジェンダー平等社会へ前進を
男女共同参画会議(議長=加藤勝信官房長官)が菅義偉首相に第5次男女共同参画基本計画の策定に向けた「基本的な考え方」を答申(11日)したのを受け、年末に同基本計画が正式決定されます。
女性たちの声が動かす
7月公表の考え方素案には、パブリックコメント(意見)募集などに高校生を含め、女性を中心に6187件の意見が寄せられ、大幅に加筆・修正されました。一番意見が多かったのは「雇用」分野901件で、「女性への暴力の根絶」が855件と続きました。
素案では、正規・非正規の格差について「待遇差が男女間格差の一因となっているとの指摘もあり」と、5年前の第4次計画より後退した記述でした。しかし、多数の意見を受け、女性の非正規化と男女格差の拡大が「問題」であると明記され、賃金格差の解消へ、「女性が多い職種における賃金の実態等について、調査分析を行う」との新たな計画も盛り込まれました。課題は多いものの、女性の声が政府を動かしています。
一方、答申は、2020年までに指導的な女性の割合を30%にする目標を「20年代の可能な限り早期に」と最長10年ほど先送りしました。国連など国際社会は30年までに男女の完全な平等(50%)をめざしており、日本は世界からさらに立ち遅れかねません。国家公務員の課長職の女性比率は5・9%、衆院議員9・9%です。昨年の参院選での女性候補比率は政権党の自民党が15%、公明党は8%でした。政府・与党の本気度が問われています。女性議員を増やすには「野党にどんどん女性を出していただいて」(自民党の野田聖子幹事長代行、9日)などと無責任なことを言っている場合ではありません。
女性差別撤廃条約の実効性強化のための救済制度(個人通報制度)を定めた選択議定書については、「諸課題の整理を含め、早期締結について真剣な検討を進める」と記しました。素案づくりで、外務省は「早期という文言を削除すべき」と意見をつけました。しかし、批判が上がり、茂木敏充外相は「早期という文言を削るよりも検討の加速が正しい」(3月、参院外交防衛委員会、日本共産党の井上哲士議員への答弁)と表明しました。国内の司法制度は批准の障害にならないとも明らかにしました。早く批准すべきです。
選択的夫婦別姓の導入では、「国会における議論の動向を注視しながら検討を進める」としました。パブリックコメントでは導入に「反対」の意見はゼロでした。最近の世論調査でも7割が賛成しています。開会中の臨時国会でも野党党首らが導入を強く求め、菅首相も、政治家として「(導入に)責任がある」と発言しました(6日、参院予算委員会)。首相がかつて「解決を考えるのは政治の責任」(「読売」06年3月14日付)と述べていた事実を示し、早期実現を迫った日本共産党の小池晃書記局長の質問への答弁です。これ以上引きのばす理由はありません。
差別撤廃の責任果たせ
日本共産党は、第5次計画の策定に向けて提案・要請を行ってきました。政府は、女性差別撤廃条約の批准国にふさわしく、あらゆる形態の差別をなくすための本格的な一歩を踏みだすべきです。さらに計画を充実させ、ジェンダー平等へ政治を前に進めましょう。