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2020年6月1日(月)

タマネギ価格 暴落

豊作なのに…農家悲痛

佐賀

 新型コロナウイルスの影響で佐賀県産のタマネギの価格が大幅に下落しています。外食産業が休業したことや学校給食がなくなったことなどで、タマネギが全国的に余り、価格が半値以下まで下がりました。現地で生産者の話を聞きました。(佐賀県・古賀誠)


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(写真)タマネギを収穫する農家=27日、佐賀県白石町

 2018年産の県産タマネギの出荷量は10万9200トンで北海道の67万4700トンに次いで全国2位です。3月の平均単価は1キロ118円と平均並みでしたが、4月中旬から価格が暴落。4月には同59円となり、5月の連休明けには30~40円台にまで下がりました。

 今年は豊作で、さらに質も良かっただけに、農家の悲鳴が多く出されています。

収入がない

 県内で最も収穫量が多く、約1000世帯のタマネギ農家がある白石町。一面のタマネギ畑では、新タマネギの収穫が最盛期です。約5・5ヘクタール(5町5反)でタマネギを育てる男性(56)は語ります。

 「タマネギの価格が下がり、輸送費や手間賃などがかかって、選果場に出せば出すほどマイナスになります。去年もタマネギの価格は安かったですが、今年は手元に来る収入はありません。来年もタマネギを作るにしても、準備するための資金がいります。タマネギをやめられればどんなに楽かと思いますが、これまで長い時間とお金をかけて作ってきた土地や機械もあります。簡単にやめることはできません」

価格保障を

 白石町のJA職員は「緊急事態宣言が出されてから価格が下がり始めました。こんなのは初めてです。農家は生産の経費が確保できない状態で生産する意欲が低下していると思います。これから融資の相談が増えてくると思います。コロナ危機が早く過ぎ去ってくれればと思いますし、行政の支援も必要だと感じます」と言います。

 県農民連の平林正勝事務局長は「タマネギ農家が大打撃を受けているこの時に、国や県は緊急支援をするべきです。農家への戸別補償や価格保障など、やれることはあるはずです。その年の収入がなくなれば、農家は次の生産ができなくなります。そして農業全体が衰退していく。新型コロナという緊急事態だからこそ、対策をしていくことが国に求められる姿です」と話しました。


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