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2020年5月13日(水)

コロナ 和牛農家に大打撃

消費税増税 需要減追い打ち

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(写真)牛舎の中でえさを食べる肉用牛(宮崎県農民連・来住さん提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大が農家の経営にも深刻な影響を広げています。全国有数の和牛産地・宮崎でも、枝肉価格の低迷など、農家に打撃と不安が広がっています。

 「えさ代も出せない価格。“とにかく早く収まって”。これが農家の思いです」。宮崎県農民連事務局長の来住誠太郎さんは語ります。「これまでの需要減に、新型コロナウイルス拡大の影響が追い打ちをかけている」状況です。

 来住さんは「本来は、12月には、外食やお歳暮など和牛の需要が増加して、枝肉価格は上昇するんですが、昨年10月の消費税増税の影響で、消費が落ち込んで価格が下落しました。大きい」と指摘。また今年1月1日に発効した日米貿易協定を先取りしたキャンペーンも影響を与えたと言います。

 通常、肥育農家は繁殖農家から子牛(もと畜)を購入。20カ月ほど飼育し、販売します。来住さんが農家から聞いたところによると、1頭を出荷するまでえさ代や労賃などが45万から50万円かかります。今出荷を迎えている子牛は、繁殖農家の減少などで価格が上がり、肥育農家は1頭80万円ほどで購入しました。

 2月時点では、前年同月を下回ったものの採算ラインをかろうじて上回っていた枝肉価格は、1キロ2000円ほどに下落。1頭のサイズは約500キロで、牛の値段は100万円です。もと畜の購入費・飼育費を下回ります。

 和牛農家への支援としては、粗収益が生産費を下回った場合、差額の9割を補填(ほてん)する「肉用牛肥育経営安定交付金(牛マルキン)」(財源の4分の1は生産者の拠出金)があります。しかし、発動には最低でも2カ月かかります。くわえて、農家からは、▽9割の補填では損失をカバーしきれない▽生産費の基準価格が低すぎて、実際の補填には不十分だ―などの声があがっています。農水省は、生産者拠出金の免除を決める一方、免除額相当分を補填金から減額するとしています。

 農民連は、▽牛マルキンの早期適用と満額交付▽子牛価格の低落に対する肉用子牛生産者補給金制度の適用―などを求めています。

 宮崎県農民連では、組合員をはじめ、実態の調査を始めています。来住さんは「このまま関連する飼料や運送など関連産業にも影響が広がります。営農をあきらめることのないよう、声をあげていきたい」と語ります。(内田達朗)


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