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2019年4月28日(日)

主張

日米首脳会談

「米国第一」の交渉の危険示す

 安倍晋三首相とアメリカのトランプ大統領が現地時間26日(日本時間27日)、ワシントンで行った首脳会談で、北朝鮮問題での連携や6月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議での協力とともに、両国で開始した新しい貿易交渉の加速で一致しました。

 トランプ氏は貿易交渉について、「とても素晴らしい長期的な貿易協定を結べる可能性がある」「日本は大量の軍事装備品を米国から買っている」と述べ、「日本が農産物にかけている莫大(ばくだい)な関税が撤廃されることを望む」などと要求しました。「米国第一」の交渉の危険性を改めて示したものです。

農産物関税の撤廃要求

 首脳会談は1対1で行われた後、貿易交渉に参加している茂木敏充経済再生担当相、並行して始まった為替問題の協議に携わる麻生太郎財務相も加わりました。

 日米首脳会談は、今回と5月末のトランプ大統領来日時、6月のG20での大統領来日の際にも行われます。3カ月連続で行われるのは異例です。トランプ氏は、貿易交渉は、「5月の訪日までに合意することも可能だ」と、結果を急ぐことを露骨に求めました。

 もともと日米貿易交渉は、アメリカも参加して結ばれた12カ国による環太平洋連携協定(TPP)からトランプ氏が大統領に就任して一方的に離脱した後、「復帰させる」と言ってきた安倍政権が結局かなわず、アメリカを除く11カ国とのTPP11の発足や、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の発効とともに受け入れたものです。

 安倍政権は、包括的な交渉ではなく、日米物品貿易協定(TAG)交渉だとごまかしています。しかし、トランプ政権は最初から物品やサービスを広く交渉する自由貿易協定(FTA)交渉だと公言してきました。実際、今月半ば開かれた茂木氏とアメリカのライトハイザー通商代表の初会合でも、物品だけでなく、サービスも幅広く取り上げることを押し付けられました。円安誘導を規制する為替問題についても、麻生氏とムニューシン米財務長官が25日から協議を始めました。

 トランプ政権がTPPを離脱して、日本などとの2国間交渉を求めたのは、多国間交渉では得られない、より有利な譲歩を引き出す狙いです。アメリカ国内ではTPPを離脱したため農畜産物などの日本市場を、オーストラリアやカナダに奪われたという不満がくすぶっています。トランプ氏が農産物関税の「撤廃」とまで明言して、日米交渉での譲歩を迫ったのは重大です。来年に予定される米大統領選を前に、成果をあげるため、日本にいっそう圧力をかけることは必至です。

亡国の交渉直ちに中止を

 ホワイトハウスは発表文書を出し、「自動車や農業、サービスなど米国の主要な輸出産業は、長い期間(日本の)高い貿易障壁に直面して貿易赤字の拡大につながった」と改めて日本への不満を表明しました。

 日米交渉をこのまま続けることは、日本の農業や国内産業にとって、文字通りの亡国の道です。アメリカが農産物関税の「撤廃」まで言い出した以上、直ちに交渉は打ち切り、日本の経済・食料主権を守り、公正・公平な貿易ルールづくりの交渉を目指すべきです。


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