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2018年9月28日(金)

主張

日米首脳会談

米の無法な圧力に屈した責任

 日米間の閣僚級の貿易協議に続いて、安倍晋三首相がトランプ大統領と首脳会談を開き、農産品など物品貿易協定(TAG)の協議に入ると合意しました。2国間交渉に固執し、日本車の関税を引き上げると脅して農産品などの輸入拡大を迫ったトランプ政権の圧力に屈服した形です。交渉中は自動車関税を引き上げず、農産品の関税引き下げは環太平洋連携協定(TPP)を上限にするとしていますが、TPPそのものが日本の農業に重大な犠牲を押し付けるもので、合意自体守られる保証はありません。アメリカの無法な要求に屈した責任が問われます。

トランプ流の「強制外交」

 中国やカナダ、メキシコ、欧州諸国など各国と、アメリカの「利益第一」の立場から激しい「貿易戦争」を繰り広げているトランプ政権の態度は、関税引き上げや制裁で相手を脅して、自らの要求を強引に押し通す、文字通りトランプ流の「強制外交」というべきものです。トランプ大統領は「国内産業保護」のためだといいますが、中国などへの高関税措置が報復を招いてアメリカ国内の産業にも被害を与えているように、国内産業も守ることはできず、自らの政権と一握りの多国籍企業の利益のために相手を脅し上げる、理不尽なものです。

 日本に対しても、前政権が推進したTPPから一方的に離脱して、2国間交渉を迫り、鉄鋼やアルミに続いて自動車の関税引き上げで脅迫し、農産品などの市場開放を迫るやり方は、「強制」以外のなにものでもありません。

 日本がアメリカから輸入する自動車の関税はゼロなのに、アメリカが日本車に関税を追加することは不当です。安倍首相も国連総会での演説で、日本の自動車会社はアメリカで現地生産を拡大し雇用を提供していると言及したように、トランプ政権の要求はどこから見ても道理がありません。コメや牛肉などの農産品も、一方的なTPP離脱について米国内の生産者から不満が出たため、日本に輸入拡大を迫る身勝手さです。

 安倍政権はこれまでトランプ政権にTPPへの復帰を働き掛けるとしてきましたが、茂木敏充経済再生担当相とライトハイザー米通商代表との貿易協議でも相手にされず、2国間交渉を受け入れました。TPPに固執し続けた安倍政権の政策の破綻は明らかです。

 TAGの交渉中は自動車関税を引き上げないといっても、交渉が終われば引き上げることになりかねません。農産品の関税などをTPPの合意にとどめるというのも、あくまでも日本としての希望の表明で、アメリカは「尊重」(共同声明)するだけです。TPPそのものがコメや牛肉など重要5品目を含む農産品を関税引き下げや輸入拡大の対象にしており、枠内でも日本農業への打撃は重大です。

国民と国益を守り抜け

 安倍首相は先の自民党総裁選の中で「戦後日本外交の総決算」を口にしました。しかしその実態は、アメリカの要求を一方的に受け入れる言いなり外交の見直しとは程遠い限りです。

 日本の国益と国民の暮らしを守るためには、アメリカ言いなりをやめることがますます必要です。TPPへの固執はもちろん、事実上の自由貿易協定(FTA)になるTAGなど2国間交渉も直ちに中止すべきです。


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