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2017年10月20日(金)

安倍首相「教育無償化」いうが

予算削り競争主義・多忙化

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 総選挙で安倍晋三首相は、「人づくり革命」と称して、消費税を10%に引き上げる増税分を活用して「教育の無償化」を売り込んでいます。しかし、教育現場からは、安倍内閣が教育予算を削減し、競争主義・多忙化を強めてきたことに批判の声があがっています。

 (玉田文子)


図

 東京都内の小学校に勤務する男性教員(32)は、朝7時に出勤し、夜7時を過ぎるまで、ほとんど休憩をとれずに教材準備や会議、授業、書類作成などに追われます。「夜10時を過ぎても学校に残っている人もいる。体調を崩す人も多い。働き方を改善してほしいというのが教員の切実な願いです」

 中学校で保健体育を教える女性(29)も、部活の指導で土日勤務も多く、有給休暇などとても消化できないと話します。

「負担軽減を」

 「時間外労働は当たり前。保護者の期待も高く、精神的につらいときもある。とにかく人を増やして、教員ひとりひとりの負担を減らしてほしい」

 安倍政権は5年間で義務教育費など文教関係費を約600億円削減しました。世論と運動で始まった35人学級は、安倍内閣になって小学2年生でストップしたままです。

 10年に始まった高校無償化も「効果がない」として廃止(13年)し、所得制限を導入しました。深刻な教員の長時間労働は「働き方改革」の対象から除外し、教員配置も「国際的にそん色ない水準」(財務省)として改善に背を向けています。

 小学校低学年を担当する女性(30)は、「私のクラスは特別に支援が必要な生徒もいます。ふらふらと教室を出て行ってしまう子もいる。担任の努力だけに任せるのではなく、少人数学級を進め、教育ができる環境を整えてほしい」と話します。

ワースト1に

 9月に公表された教育予算の世界ランキング(GDPにたいする公財政教育支出の割合)で日本は、経済協力開発機構(OECD)34カ国中ワースト1になりました。

 世界では考えられないような高学費に苦しみ、教育条件も欧米では1学級20〜30人が当たり前なのに、日本では小学校3年以上は40人学級のままです。

 教育の内容にかかわって第1次安倍政権(07年)が開始した全国学力テストは、教育現場に競争主義を押し付け、教員や生徒を追い立てています。

 都内の小学校に勤務する女性(58)は「授業だけでも手いっぱいなのに、学力テストの点数を上げるために過去問やドリルをこなす時間が増えた」と言います。学力テストのほかにも、調査報告や授業数の増加、情報機器を使用した「ICT教育」などへの対応で、授業準備の時間が取れないと訴えます。

 抜本的な定数改善がされないなかで、教員の1日当たりの平均勤務時間が11時間を超えています。過労死ラインの残業を強いられている教員は小学校で3割、中学校で6割にのぼっています。

 「いい授業ができないと生徒の学力も上がらない。授業準備に時間をかけたいけど勤務時間内にはとても時間がとれない。多忙化の解消や少人数学級を実現しないと教育の質が保てません」

日本共産党の政策

先進国並みに予算増を

 日本共産党は、教育に対する公的支出を先進国の平均並みにすれば6兆円の教育予算を増やせるとして、幼児教育にとどまらず保育の無償化、高校授業料の無償化、教員定数の増員を掲げています。

 財源は、貧困と格差拡大に拍車をかける消費税増税ではなく、大企業や富裕層に応分の負担を求めれば確保できると示しています。

 教員の長時間労働を解消し、勤務時間内に授業準備や子どもと向き合うことに集中できるよう、授業時間増に見合う教職員の増員や現場の負担を考えない「教育改革」をやめるなど業務の改善、休養日設定など部活動の改善、労働法の適用による勤務時間の把握などを掲げています。


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