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2017年10月11日(水)

TBS系「NEWS23」党首討論

志位委員長の発言

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 日本共産党の志位和夫委員長は9日夜、TBS系「NEWS23」で行われた党首討論に出演し、「森友・加計疑惑」や安保法制=戦争法、消費税問題などで7与野党党首と討論しました。志位氏の攻勢的な論戦で、「自公と補完勢力」対「市民と野党の共闘」の対決構図がいっそう鮮明になった討論会となりました。司会は、星浩、雨宮塔子両キャスターと駒田健吾アナウンサー。


本当の対決軸―「自公と補完勢力」VS「市民と野党の共闘」の二極対決

 討論は、各党首がだれに何を問いたいかをフリップに記してスタート。志位氏が安倍晋三首相に対しあげた「税のゆがみ」は番組後半で議論になりました。

 安倍首相、公明党の山口那津男代表、「希望の党」の小池百合子代表、日本維新の会の松井一郎代表らの間で、選挙後の政権の枠組みなどをめぐり討論になりました。このなかで立憲民主党の枝野幸男代表は「(共産党との連立は)まったく考えていない」とする一方、「市民連合」の7項目の政策要望について「しっかりと推進していく」と表明しました。これを受け司会者が「いま政界は、自民・公明・こころ、そして希望・維新、そして共産・立憲民主・社民という三極に分かれている」と政党を3枠にくくった表付きで解説。志位氏は次のように発言しました。

 志位 この表ですね。いわゆる「三極」というふうに分かれているんですけれども、私は自民党と「希望の党」はあんまり政策の違いはないと思うのですよ。

 小池さんのところの政策を拝見しますと、「安保法制容認」「9条を含む憲法改正」で、「原発ゼロ」をおっしゃるけど、「再稼働は容認」ということになりますと、安倍さんとあんまり変わらない。安倍さんのほうも「理念は一緒ですよ」とおっしゃっている。この前(8日の)討論会で(小池氏に)聞きましたら、「受動喫煙、そこらへんは違うけれども…」という話でした。基本のところは、違わないと思うのです。

 ですから、本当の対決の軸は、「自民党、公明党とその補完勢力」対「日本共産党、立憲民主党、社民党と市民の共闘」。この“二極対決”になっている。さっき枝野さんがいわれた(市民連合の)7項目の中には、たとえば「安倍政権のもとでの9条改憲は反対」、あるいは「安保法制、共謀罪、秘密保護法という違憲立法は廃止する」、それから、原発の問題も「福島原発事故の検証がやられていないもとでの再稼働は認めない」と、いろんな暮らしの問題も含めてきちんとした対決軸が立っています。ですから「自公と補完勢力」VS「市民と野党の共闘」に本当の二極対決の構図があります。

 この志位氏の発言に維新・松井氏は、「志位さんはわれわれを『補完勢力』『あまりにも維新の政治はひどいからだ』というが、僕はもう6年(大阪府)知事をやっている」と発言。志位氏は明快に反論し、松井氏との間でやりとりになりました。

 志位 「あまりにひどい」と私がいったのは理由があって、「大阪都」構想なんですよ。これは、大阪と堺の二つの市を解体して、そして「都」に権限とお金を全部吸い上げていく。こういう地方自治を壊す仕組みだと。だから私たちは、自治を守るという一点で協力しているんです。これは大義があってやっている。補完勢力という意味だったら、松井さん、国会で維新がやっていること知っています?

 松井 いや、反対していますよ。

 志位 (維新は自公と)カジノ(解禁)の法律とか共謀罪とか一緒になって強行採決をやっている。

 松井氏は「大阪都構想は最低だというのか。では東京都は東京区と東京市に戻すのか」と論点をすりかえ、志位氏が指摘した自治を守る一点での大義についてはまったく答えられませんでした。

「森友・加計疑惑」―首相には“選挙戦で丁寧に説明”する意思はないのか

 ビデオ出演した社民党の吉田忠智党首は、「森友・加計疑惑」などを議論しないままの冒頭解散は「国民に対する約束違反だ」と安倍首相に説明を要求。安倍首相の口からは「なぜ冒頭解散か」の理由は一切語られませんでした。それどころか「加計疑惑」について「国会の場で質問されれば丁寧に説明していきたい」などと述べました。志位氏は次のように追及しました。

 志位 (加計学園の獣医学部新設は)構造改革特区で何度も申請してきたけれども認められなかった、国家戦略特区になったらすっと進んだと(いう)。これが問題になっているわけですよ。

 それから、先ほど「冒頭解散、なぜですか」と吉田さんが聞かれた。私も何度か安倍さんに聞きましたけれども、冒頭解散の理由は一回もお話しされていない。「北朝鮮」、あるいは「少子高齢化」が「国難だ。これを打開するためだ」とおっしゃる。しかし、これは、冒頭解散の理由にならないですよ。私たちは、そういう総理の言われる二つの問題も含めてよく議論する。そして疑惑の問題についてはきちんと究明した上で、国民に信を問うべきだと言ってきました。

 それからもう一つ言いますと、たしか総理は、“選挙戦の中でも丁寧に説明していく”とおっしゃっておられたと思うんですよ。ところが、選挙戦の中で総理が街頭演説で、この「森友・加計」について、国民がみんな疑問に思っている点について、丁寧に説明したという話を聞きません。

 (自民党筆頭副幹事長の)小泉進次郎さんは“総理が街頭で訴えられた方がいいんじゃないか。疑問を晴らせるのはご自身だけだ。だからもっと街頭演説でも(話を)されたらどうですか”と言っている。これ、なかなか正論だと思うんですよ。ぜひ、明日(10日)から選挙が始まるわけですから、第一声でも、(「森友・加計疑惑」について)かくかくしかじかでこうです、という説明をされる意思はないんですか。

 これに対し安倍首相は「街頭演説というのはだいたい15分くらい」と“時間制限”を持ち出し、その中で北朝鮮問題、少子高齢化問題を「説明する必要がある」と発言。「森友・加計疑惑」について「私はもう、かなり十分説明をしてきている。街頭演説で説明するというよりも、また国会があるから、その場で問われれば説明をさせていただきたい」と、自ら国民に表明した約束を投げ捨てました。

疑惑の真相解明―キーパーソンについて、間接話法でなく直接話法で

 司会の星氏が「国家戦略特区で認可され、気が付いたら総理のお友だちの学校、“なんかこれ変じゃないの”という意識を国民が持つことは不自然ですか」と問いかけると、安倍首相は「私が言ってもしょうがないので…」と述べ、この間、党首討論で首相の援軍を買って出ている「日本のこころ」の中野正志代表に発言を求める場面も。これらのやりとりを受け、志位氏はずばり「森友・加計疑惑」で求められていることを提起しました。

 志位 この問題、簡単な問題なんです。いろいろと総理はおっしゃる。しかし、一番肝心なキーパーソンの2人が口を開いていないんですよ。(安倍首相夫人の)昭恵さんと、(加計学園理事長の)加計孝太郎さんなんですよ。証人喚問も拒否している。全部このお二人については、(首相の)安倍さんが代弁しておっしゃる。昭恵さんについてはこうこうこうです。加計さんとの関係はこうこうこうですと。これ、全部総理が間接的におっしゃるわけですね。しかしこれでは納得できないわけです。

 例えば、「(安倍首相は加計学園の獣医学部新設申請を)今年1月20日まで知らなかった」とおっしゃった。みんなびっくりしたわけですね。加計さんとは、そういう本当の、利益抜きの付き合いだからやってきたんだと、総理は説明する。しかし、なかなかこれは本当かなとなるわけですね。

 加計さんに聞けばわかるわけですよね。なぜそんな簡単なことができないのか。それから昭恵さんについても、森友学園の(計画した小学校の)名誉校長もつとめられて、理事長さんとはかなり親密な関係にあったんですよね。なぜ間接話法にするのか。直接話法にすれば、本当に問題がなければ、そこで疑問が氷解するはずなんです。

 安倍首相は志位氏のこの指摘に答えられませんでした。立憲民主・枝野氏も「後ろめたくないなら徹底して情報公開し、加計さんに国会で説明を」と求めました。

安保法制=戦争法の発動問題―国民の知らないところで日本が戦争当事国になる危険が

 安倍首相は、北朝鮮のミサイル発射などをあげながら、自衛隊の海外での武力行使を可能にした安保法制=戦争法について「つくっておいて本当によかった」と発言。公明・山口氏は「外国での集団的自衛権(の行使)なんて認めていない」と、戦争法の危険を覆い隠しました。志位氏は次のように述べました。

 志位 安保法制というのは結局、いくつかの(海外での)武力の行使の通路があるんです。集団的自衛権、「戦闘地域」までいっての兵たん支援、戦乱が続いているところでの治安活動、そして武器を使っての米艦防護―四つあるのですけれども、全部共通しているのは、日本に対する武力行使がなくても、アメリカと一体に武力の行使をすすめると、ここに問題があるわけです。

 いま問題になっている安保法制の発動―アメリカの軍艦に対して、安保法制を発動して燃料を補給する、あるいは武器を使って防護する。これは国民の知らないところでやられていることが明らかになりました。私は、たいへん危険なことだと思います。

 というのは、アメリカは「『軍事的選択肢』をとることがある」と言っている。「軍事的選択肢」というのは、「先制的な軍事力行使」ですよ。これに乗り出したときには、米軍の戦争に、いわば自動的に日本の自衛隊が参戦することになってしまう。そうしますと、国民の知らないところで日本が戦争の当事国になる。すなわち、結果として、日本全土に戦禍が及ぶことになる。これでいいのかという問題なんですね。アメリカは、そういうオプション(選択肢)を持っている。

 それでも公明・山口氏は、「海外でアメリカが武力を使った場合、自動的に参戦することはあり得ない」と発言。志位氏は、「武器を使った米艦防護というのは本当に危ないんです。アメリカ軍が戦闘状態に入ったら、そのまま集団的自衛権(の行使)に地続きになる」と反論しました。

「税のゆがみ」どうただす―まず富裕層や大企業への優遇税制あらため財源つくる

 志位氏が、番組冒頭にフリップで提起した「税のゆがみ」がテーマになりました。志位氏は次のように発言しました。

 志位 消費税10%の是非が大きな争点になっています。私たちは10%を中止すべきだと考えています。いまの消費不況のもとで、これはできないと思っています。「税のあり方」としても、消費税には反対しております。

 では、財源はどうするかということが問題になってくると思います。私たちは、消費税に頼らなくても社会保障を支える道はあると。少なくとも二つの「税のゆがみ」にまず手をつけたらどうかと提案したいと思います。

 一つは、株でもうけたものにかかる税が軽いわけですよ。そのために所得が1億円を超えますと、税負担率が逆に軽くなる不公平があります。これを正しますと、だいたい1兆円くらいでてきます。富裕層優遇税制をなくす。

 もう一つは、大企業がもっぱら使う研究開発減税など、大企業優遇税制があります。そのために、中小企業の法人税の実質負担率が19%、大企業は12%。これも逆転なんです。この不公平を正しますと、だいたい4兆円でてきます。ふたつ合わせますと5兆円ぐらいでてくるというのが、私たちの試算です。

 5兆円というと、(消費税)2%の増税分です。ですから私は、まずはここのところにメスを入れて、ゆがみを正して財源をつくるということに取り組んだらいかがかと提案したいと思います。

 これに対し安倍首相は「われわれは累進税率をあげ、有価証券の取引税については利益の出たものについてはあげてきた。しかし、どんどんあげていけば市場に相当の影響がある」と述べ、志位氏が提案した「税のゆがみ」の是正に正面から向き合いませんでした。この問題で志位氏はさらに続けました。

 志位 「税のゆがみ」の問題に、安倍さんからはちょっと前向きの話はなかったんですけれども、いま税の問題を考えようと思ったら、やはり能力に応じた負担―「応能負担の原則」が一番大事だと思うんですよ。

 いま能力をもっているのはどこか。一つは大企業ですよ。史上空前の経常利益を上げている。内部留保は400兆円も積み増している。そしてもう一つは富裕層ですよ。(米誌)『フォーブス』の統計では、日本の富裕層トップ40の資産が安倍内閣で2倍になっている。ですから、能力のあるところにきちんと負担してもらおうと。これが当たり前の税のあり方だと。

 いま世界でも、たとえば、イギリス労働党のジェレミー・コービン党首は、「富裕層への課税」と言って、青年の中にブームを起こしている。あるいは(米上院議員の)バーニー・サンダースさんも同じことを言っています。これがトレンドになっています。

 他の野党も「格差と貧困の増大を改善しないと消費は回復しない」(立憲民主・枝野氏)、「国民の生活最優先、憲法を生かす政治を掲げてたたかう」(社民・吉田氏)と述べました。


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