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2017年7月14日(金)

主張

住宅の“安全網”

「住まいは人権」保障してこそ

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 貧困と格差の広がりの中、住まいの安定が損なわれる人たちが後を絶ちません。重い家賃負担で生活苦に陥る低年金高齢者、低賃金のため実家から独立したくてもできない若者―。防火の仕組みが万全でないアパート火災で犠牲になった人などもうまれています。「住まいの貧困」をめぐるさまざまな問題を打開するため、政治が役割を果たすことが求められます。

劣悪な住環境を強いられ

 北九州市で5月初め、木造2階建てアパートの火災で1人暮らしの日雇い労働者ら6人の命が奪われる痛ましい事故が起きました。全焼したアパートは消防の立ち入り検査の対象外でした。家賃は日割りになっており実態は旅館業法で定める「簡易宿所」でした。市が生活保護受給にあたって当面の住まいとしても紹介していたといいます。劣悪な居住環境で暮らす生活保護利用者や不安定雇用労働者の現状を改めて示しています。

 老齢基礎年金は満額で月約6万5千円です。年金暮らしの単身高齢者で家賃3万円なら手元に残る生活費は月3万5千円です。親の家に身を寄せるしかない非正規雇用・低所得の若者も増えています。年収200万円未満の若者では親との同居率が77・4%に達しているデータもあります。

 母子世帯の貧困も顕著です。厚生労働省の国民生活基礎調査(2016年)では「貯蓄がない」母子家庭世帯は37・6%、「借入金がある」が28・1%です。切り詰めて生活する世帯に家賃負担がのしかかる様子が目に浮かびます。

 先の通常国会で「改正住宅セーフティネット法」が全会一致で成立しました。改正法は、低額所得者、被災者、高齢者、障害者など、「住宅確保要配慮者」に低家賃の賃貸住宅を供給するとして全国に約820万戸ある空き家の一部を活用する住宅登録制度を盛り込みました。空き家を安く貸し出すことを目指すものですが、家賃の低廉化助成は法律に書き込まれず予算措置だけにとどまっています。

 しかも17年度予算では、月最大4万円を家主側に補助する低廉化予算はわずか3億円です。5千戸の補助しかできません。国土交通省は20年度末までに毎年度5万戸ずつ登録住宅を用意するとしていますが、登録住宅の10%程度しか家賃は安くなりません。国交省は、「住宅確保要配慮者」の対象を約28万世帯と推計していることからも、あまりに小規模です。

 日本共産党は、改定法の国会審議などで、住宅困窮の実態把握を急ぎ、実態にふさわしい仕組みにすることを求めました。入居者に給付する家賃補助にすることなど制度の抜本的な拡充は急務です。

公的責任を後退させず

 政府が住宅政策への公的責任を後退させていることは重大です。「住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸」する公営住宅はニーズが高いのに、05年度の219万戸をピークに14年度は216万戸へと減少しました。その結果、東京都22・8倍、大阪府8・8倍など高倍率となり、入居できない事態になっています。

 06年制定の住生活基本法の基本理念は「住生活の安定の確保」です。国・行政は、「住まいの貧困」の実態を正確に掌握・分析し、公営住宅の増設、家賃補助制度の創設など「住まいは人権」を保障する立場の確立をめざすべきです。


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