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2016年11月29日(火)

欧米 新たな社会変革の動き

欧州 「反緊縮」求める勢力が前進

米国 「99%のための政治を」の声

激動の時代に 27回党大会決議案から

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 日本共産党の第27回大会決議案では、「欧米では、グローバル資本主義の暴走――世界中を最大利潤を求めて動きまわる多国籍企業や国際金融資本の横暴のもとで、格差と貧困の拡大に反対する幅広い市民運動が発展している」と指摘しています。その実態をみてみます。


日本のたたかいと響きあう

米国

 米国の大統領選で勝利したドナルド・トランプ氏の政権移行固めが進む17日、首都ワシントンの連邦議会前に民主党の大統領予備選を争ったバーニー・サンダース上院議員の姿がありました。

 「最低賃金の引き上げや学費無償化、富裕層や大企業の公平な税負担、国民皆保険など、ウォール街(金融業界)に立ち向かった国民のたたかいはだれもとめることはできない」

 力を込めて訴えるサンダース氏。

 同氏が中心となり、この夏結成した「われわれの大変革」のメンバーも、人種差別や不平等に抗議する運動を続けていく決意を語りました。

 今年の大統領選挙では、予備選、本選を通じて「人口の1%の最富裕層のための政治ではなく、99%のための政治を」という声が響きました。

 2011年秋に、富裕層の強欲を批判し、「私たちは99%(の利益代表)」と主張して全米に広がった「占拠(オキュパイ)」運動参加者を巻き込んだ動きでした。

 最低賃金時給額15ドル(約1650円)を求めた声も、格差是正を求める運動から出てきた切実な要求でした。

 米国では、比較的賃金が高かった製造業が縮小して、これら部門の労働者は賃金の低いサービス分野に流れました。

 格差の拡大はこうした製造業の縮小が背景の一つとなっています。

 米中西部から北東部の「ラストベルト」(さびついた工業地帯)は米社会が陥っている行き詰まりを象徴的に示しているところです。

 格差を示す数字の一つが富の偏在。最富裕層の上位0・1%の世帯が全米の富の22%を占めています。下位90%の富の総額が同じ22%ですから、富の所有での格差の大きさをうかがうことができます。

 新大統領に就任するトランプ氏は格差や貧困の拡大についての打開策は示しておらず、米国では今後、市民の動きが活発化しそうです。

図

欧州

 欧州連合(EU)でも緊縮政策に抗する勢力の前進がありました。

 EUは、域内での人(労働)、物(商品)、お金(通貨・資本)の動きが自由になるという単一市場を導入しました。解雇規制などの労働条件、社会保障などを指令や規則として定め、「ルールある社会」を築いてきました。

 しかし、単一市場は次第に域内での自由競争を促進する一方で、新自由主義的性格を強めました。

 特に08年のリーマン・ショック以降、EUが主導して、民営化や公務員削減、医療・教育予算の削減、年金改悪などの緊縮政策が実施されました。その結果、格差と貧困、不況と失業が深刻化しました。

 とりわけ、ギリシャ、ポルトガル、スペインへの影響は深刻でした。

 「ポルトガルはユーロ圏が押し付ける緊縮への対案を示すことに成功した」。同国のコスタ首相の言葉です。

 同国では、15年10月の総選挙で、緊縮を推進してきた保守の社会民主党が過半数割れ。少数与党ながら、ポルトガル共産党などが閣外協力する中道左派の社会党のコスタ氏が首相となりました。

 今年の10月14日には、所得税の引き下げや年金増額、貧困層支援などを盛り込んだ17年度予算を提案し、注目されています。

 スペインでは、反緊縮を掲げた新党「ポデモス」が躍進。ギリシャでは昨年、2度にわたる総選挙でEU押し付けの緊縮の緩和を求める急進左派連合(SYRIZA)が勝利しました。

 英国では、格差やEUへの不信から、EUからの離脱(BREXIT)が選択された一方で、15年5月の総選挙で大敗した労働党内で、「筋金入りの左派」のコービン氏が党首に選出されました。同氏は、潜水艦発射弾道ミサイル「トライデント」に反対し、労働者の権利の擁護、富の公正な分配などを訴えてきた政治家です。

 ドイツでも来年の総選挙に向け、これまで連立したことがない左派3党の連立政権への模索が始まっています。与党の社会民主党と、野党の90年連合・緑の党、左翼党の3党で、連邦議会(下院)の現議席数では過半数です。

 ことしはトランプ氏の米大統領選での勝利に先立って、6月には英国の国民投票でEUからの離脱を選択しました。この二つはいずれも、富が富裕層に集中し、国民の不満が蓄積されたなかで起きたことです。不満が渦巻くもと、排外主義や人種差別的発言で人気をとる右翼の台頭にも警戒が必要です。

 このなかでも、さまざまな運動が合流し、経済格差是正と平和を求める新しい市民運動と結びついた社会変革の動きが出ているのです。いま、日本で発展しつつある野党と市民の共闘と響きあうもので、今後の動きが注目されます。

図

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