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2016年11月6日(日)

主張

「パリ協定」発効

温暖化対策 日本は責任果たせ

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 2020年以降の地球温暖化対策の国際的枠組みを定めた「パリ協定」が4日発効しました。世界の90カ国以上が批准を済ませ発効の条件が整ったためです。世界第5位の温室効果ガス排出大国の日本の批准が発効に間に合わず、7日からモロッコのマラケシュで開かれる締約国会議にも正式に参加できなくなったのは重大です。日本は4日の衆院本会議で協定承認を目指したものの、環太平洋連携協定(TPP)承認案をめぐる与党のルール無視の暴走で実現しませんでした。議会制民主主義破壊を許さず、安倍晋三政権に、国際的責任を果たさせるべきです。

国際社会に背を向ける

 急激な気候変動や生態系の破壊を引き起こしている地球温暖化を抑制することは、人類社会の切実な課題です。急速な海面上昇にさらされている太平洋の島々では、国が消滅しかねない事態です。日本でも異常気象の続発や熱帯で流行していた感染症の影響が広がるなど、温暖化対策はいよいよ差し迫った問題になっています。

 地球温暖化は、人間の活動が原因となった二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの増加が原因となって引き起こされることが世界的な研究者の研究で確定しています。温室効果ガスの発生を減らし、地球気温の上昇を抑えることが地球温暖化対策の眼目です。

 「パリ協定」は、長年にわたる交渉で、昨年12月の気候変動枠組み条約締約国会議で200近い国・地域の賛成で合意したもので、文字通り世界のルールです。世界の平均気温の上昇を産業革命当時に比べ2度未満、できれば1・5度未満に抑えるため、温室効果ガスの排出を今世紀後半には排出量から森林などでの吸収量を差し引いて「実質ゼロ」に抑えることを目標にしています。これまでの「京都議定書」と違い、先進国にも発展途上国にも削減を求めたもので、各国が目標を提出、5年ごとに見直すことを義務付けています。

 「パリ協定」は、合意から1年足らずの間に中国、アメリカ、欧州連合(EU)加盟国などが批准を終え、世界の総排出量の55%以上、55カ国以上という発効の条件を達成しました。日本が発効までに批准できなかったのは、世界の流れに逆らうものです。

 今世紀後半の温室効果ガス排出を「実質ゼロ」にすることを目指す「パリ協定」で、排出大国でもあり先進国でもある日本は厳しい排出削減を求められますが、日本が提出した目標は30年度に13年度比で26%減とするだけの不十分なものです。「パリ協定」がスタートするのを待たず、意欲的な目標に見直すことが求められます。

大企業いいなり改めよ

 安倍政権の温暖化対策は、国際社会に比べ立ち遅れ、国際的な責任を果たしていないだけでなく、排出量の約9割を占めるエネルギー分野で大量消費を続け、福島原発事故で危険性が証明された原発とともに、温室効果ガスの排出量が多い石炭火力にも依存するなど問題だらけです。安倍政権が財界・大企業いいなりを続け、企業の「自主」計画に任せ、財界が反対する「炭素税」などの導入には消極的なことがその背景です。

 安倍政権に国際的な責任を果たさせるためにも、財界・大企業いいなりの政治を根本から改めることが不可欠です。


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