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2016年9月21日(水)

豊洲 地下空間10年前検討

“建設機械搬入 可能か”

汚染処理前提に 都がゼネコンに相談

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写真

(写真)盛り土がなく地下水がたまっていた豊洲新市場の建物地下=7日、東京都江東区(日本共産党都議団撮影)

 東京都が築地市場(中央区)の移転先として整備中の豊洲新市場施設(江東区)の地下に盛り土をせず、高さ4・5メートルの巨大空間をつくった問題で、都中央卸売市場は約10年前に、当初から盛り土をしないで汚染対策が必要になったときに建設機械を空間に運び込むことをゼネコン側に相談していたことが20日、本紙の取材で明らかになりました。

 市場施設の建設工事を受注したゼネコン関係者が、本紙に証言しました。関係者は「都の担当者から、市場施設の地下につくる空洞に建設機械を入れることができるのかとアドバイスを求められた。私は、高さが4〜5メートル程度あれば小型ユンボ(油圧ショベル)なら分解して空洞の中に持ち込み、組み立てて作業ができると説明した」と話しました。都の担当者が相談してきた理由について、関係者は「汚染物質が施設の地下に上がってきたときに、床を壊して地下の土壌を掘り返して作業するのは大変だから、空洞をつくろうと考えていたのだと思う」と述べました。

 相談を受けた時期は、都が豊洲新市場の整備・運営を民間企業に委ねるPFI方式を検討していた時期(2006〜07年ごろ)だったといいます。また、予定地の土壌汚染が発覚し、汚染除去対策の検討をしていた時期と重なります。

 都中央卸売市場の担当者は「経緯を確認中なので、今はお答えできない」といいます。

解説

議会・都民へ繰り返された虚偽説明

ゼネコン関係者の証言内容は、都が約10年前から建物の地下に盛り土をせず、地下空間を造ることを検討していたことを裏付けるものです。

 豊洲新市場用地は東京ガスの工場跡地で、発がん性物質のベンゼンが環境基準の4万3000倍も検出され、さらに、猛毒のシアン化合物やヒ素など有害物質で高濃度汚染されていました。

 このため、都は2007年に専門家会議を設置し、土壌汚染対策方法の検討を依頼。専門家会議は08年7月、市場の全域について、旧東京ガスの操業地盤の地下2メートルの土を全部掘削し、その上に高さ4・5メートルの盛り土を行う対策を都に提言しました。

 提言を受けた都は、08年に設置した技術会議に具体的な工法の検討を依頼。都は14年11月に858億円をかけて土壌汚染対策が「完了した」とし、施設地下を含む全域で4・5メートルの盛り土を行ったと、都議会や都民に虚偽の説明をしてきました。

 ところが、日本共産党都議団が7日の現地調査で、豊洲新市場の売場棟の地下は4・5メートルの盛り土工事を行わず、巨大空間を造成していた事実を初めて確認。12日に行った記者会見で、都の説明が虚偽であったことを告発しました。

 小池百合子知事は、10日の緊急会見でその事実を認め、調査を行うと発表しました。

 都議会や都民、市場業者に虚偽の説明を繰り返し、専門家会議の提言も無視して地下空間を造ってきた都の責任は重大です。

 安全性の検証を含め、真相の徹底究明が求められます。

(岡部裕三)


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