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2016年5月1日(日)

米軍再編計画合意10年

基地再編 大幅遅れで失敗

住民の声耳傾けず思考停止に

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 日米両政府が在日米軍再編計画(ロードマップ)に合意してから1日で10年になります。(1)基地の再編強化(2)日米の軍事一体化―を柱とする同計画のうち、基地の再編強化は当初の「2014年完了」という目標から大幅に遅れています。

 (竹下岳)


移設条件で矛盾

写真

(写真)新基地建設が狙われる沖縄県名護市の米海兵隊キャンプ・シュワブ

 同計画は当時のブッシュ米政権が進めていた地球規模の米軍再編の一環で、普天間基地(沖縄県宜野湾市)「移設」=沖縄県名護市辺野古の新基地建設など、米軍基地・部隊の大幅な強化を狙ったものです。

 しかし、基地の再編計画は全体として遅れています(表)。他国では基地の削減を前提にしているのに、日本では兵力を基本的に維持する上に、「移設」で基地を強化するため、地元に激しい矛盾をもたらしていることが最大の理由です。しかも、総額3兆円とされる費用は日本国民の税金で支払われます。

 沖縄県では、辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」の流れが生まれました。同県内の「嘉手納基地より南」の基地整理・統合についても県内移設を条件にしており、2020年代後半までずれ込みます。

 厚木基地(神奈川県大和市など)の空母艦載機の岩国基地(山口県岩国市)移転について山口県と岩国市は、辺野古が進まないうちの「先行移転」は容認しないとの立場です。

 在沖縄米海兵隊の移転に伴う米領グアムでの基地建設も、当初の計画では先住民の聖地を射撃訓練場にする計画が含まれており、住民は猛反発。米国防総省は昨年、新規の土地収用を全面撤回することを決定しました。基地建設工事も最低で28年まで続きます。

計画の撤回を

 米軍再編計画のうち、少なくとも基地再編の中核である在沖縄基地の再編計画については失敗したと言わざるを得ません。

 「歓迎されない場所に基地を置かない」

 ロードマップに署名したラムズフェルド国防長官(当時)はこう述べていました。実際、米国内ではグアムも含め、住民の声を受け入れて計画を縮小・撤回した例は少なくありません。しかし、日本では、この10年間、日米両政府は住民の声に耳を傾けず、完全な“思考停止”に陥ってきました。

 米国では10月の大統領選を経て来年1月に新政権が発足します。再編計画の撤回・無条件の基地縮小は避けられません。

他国は

 【韓国】日本、ドイツに次ぐ規模の米軍が駐留する韓国では、(1)3万7500人の兵力を2万8500人程度まで削減する(2)全土に広がる基地を統廃合して南部を中心に再配置する―計画です。戦時作戦統制権の韓国軍への移行は、北朝鮮情勢などを受け、15年12月から20年代中盤まで延期されました。

 【欧州】1990年には米軍約31万人が駐留していましたが、昨年6月時点で約8万人まで縮小。とくに約23万人規模だった在独米軍は、在日米軍(約4万9000人)より少ない約3万8000人まで減少しました。基地も縮小・閉鎖の傾向が続いています。

 最近、オバマ政権はウクライナ情勢に対応してEAI(欧州再保証イニシアチブ)と称して東欧や黒海に米軍を増強していますが、いずれもローテーションによる一時的な駐留です。

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