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2015年5月25日(月)

NHK「日曜討論」小池政策委員長の発言

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 後半国会の大きな焦点のひとつである労働者派遣法改悪案(「正社員ゼロ」法案)と労働基準法改悪案(「残業代ゼロ」法案)を中心に、雇用・働き方がテーマとなった24日のNHK「日曜討論」。日本共産党の小池晃政策委員長は、労働者派遣法改悪案の廃止と、長時間労働の規制に向けて政党・立場の違いを超えて尽力する考えを表明しました。


労働者派遣法改悪案

正社員がどんどん減る。政党の違い超え廃案を

 すべての業務で派遣期間の制限(原則1年、最長3年)を撤廃する派遣法改悪案について、自民党・田村憲久政調会長代理は「非正規から正規の働き方に変えていく。その道筋として派遣を使っていく」、公明党の古屋範子副代表も「正社員化への道を開く後押しをしていく。必要な改正だ」などと主張。小池氏はこう表明しました。

 小池 労働者派遣制度の大原則は、「常用雇用代替の禁止」、すなわち正社員を派遣社員に置き換えてはいけないということです。今回の最大の問題は、同一業務で原則1年、最長3年というこの期間制限をやめてしまうことです。人を代えれば、同じ部署でずっと派遣労働者を使える。結局、正社員がどんどん減ってしまう仕組みになってしまいます。

 安倍首相は、「企業が世界一活躍しやすい国をつくる」と言っていますが、裏を返せば、「労働者が一番苦しめられる国」になりかねない。これは、歴史的な派遣法の根幹を変えるような大改悪です。労働団体も立場を超えて反対だといっており、政党の立場を超えて、なんとしても廃案にするために頑張りたいというのが思いです。

派遣先企業に義務課していない

 他の野党からも「一生派遣のままの労働者が増える」(民主・山井和則衆院議員)「非正規労働者の低賃金や低処遇の状態がずっと続く」(維新・今井雅人政調会長)などの批判が相次ぎました。

 田村氏は、派遣元による教育訓練・キャリアアップの義務付けなど、「正規社員として雇ってもらう道をつくっている」と強調。これに対し小池氏は次のように批判しました。

 小池 この法案が通ると、派遣社員が正社員になれるかのようにいわれますが、雇用安定措置となっているのは、一つは派遣先企業に直接雇用を「依頼」する、お願いするというものです。もう一つは、別の派遣先を「提供」する。結局、派遣先企業には正社員募集についての情報提供ぐらいしか義務化されていない。「派遣切り」は派遣先企業がやるわけで、そこに対して雇用を守る義務が全く課されていないのがこの法案の特徴です。

 キャリアアップといいますが、派遣社員が正社員になれないのはキャリアがないからじゃないですよ。正社員と同等以上のキャリアを持っているのに、それが差別されているからです。いまやるべきは、きちんと正社員化することです。ところが今度の法律はそれが閉ざされている。3年たったら過半数労働組合の意見を聞くだけです。同意もない。しかも、衆議院の審議では、意見を聞く努力さえすればいい、結局聞かなくてもいいと。これでは何の歯止めにもならないということになるじゃないですか。

女性の雇用改善にも逆行する

 非正規雇用労働者の多くを占める女性の雇用改善もテーマとなり、田村氏は、「男性の長時間労働を減らしていく。こういうモデルを早くつくらないと駄目だ」などと主張しました。

 小池氏は司会者から女性の雇用改善を進めていく上で法案をどう評価するか問われ、次のようにのべました。

 小池 (雇用改善の)逆行だと思います。そもそもジェンダー(社会的性差)平等にかかわるILO(国際労働機関)条約で、日本は、雇用職業の差別待遇、あるいは母性保護に関する条約、パートタイム労働条約などをほとんど批准していません。その上、女性の半分以上が非正規雇用となっています。

 そういう中で安倍政権は、派遣法も含めて、ただでさえ不十分な女性労働者、非正規労働者を守るルールを、「岩盤規制」だといって攻撃し、「ドリルで穴を開ける」といっているわけで、これでは女性の雇用環境がますます悪化すると思います。

 賃金格差、昇進格差、パワハラ、セクハラ、マタハラはしっかりなくしていく。「同一労働・同一賃金」、「均等待遇」、そして「間接差別の禁止」、こういう原則でのルール作りがやっぱり必要です。

 いま安倍政権がやろうとしているのは、「残業代ゼロ」法案や派遣法改悪などで、こういうルールを全部、最後のとりでを壊してしまうというやり方です。

「非正規は安上がり」の仕組みこそ解決を

 非正規雇用労働者が正社員並みの仕事をしながら低賃金に抑えられているもとで、切実な願いとなっている「同一労働・同一賃金」の実現について、田村氏は「産業界・労働界全般とゆっくり話をさせていただかないとそう簡単には変わっていかない」などと後景においやる考えを述べました。これに対し、小池氏は次のように指摘しました。

 小池 「労使で」と言っていては進みません。やはり国のルールなんですから。

 なぜ非正規が広がるかというと、安上がりで首切りがしやすいからです。これを防ぐためには、「同一労働・同一賃金」を実現し、安上がりという仕組みを変えることをやらないといけない。いろんな障害があるからというが、やっぱりこの問題を解決しないといけないと思います。

「残業代ゼロ」法案

過労死が続出する。成果でというなら時間規制こそ必要

 労働時間規制をなくす「残業代ゼロ」法案について田村氏は、「対象者は成果を定量的にはかれる人だ。健康確保措置を義務付ける」と説明しました。

 小池氏は次のようにのべました。

 小池 健康確保措置があるといわれますが、三つのうちの一つを選べばよくて、一つは年間104日以上の休日をとればいいということで、これは土日だけです。祝日も正月も盆も全部働く。24時間働いてもいい。これでどうして健康が守られるのか。

 「成果で賃金」と言われるけど、成果主義賃金はもういくらでも広がっています。今度の法律だって成果で賃金払う制度とは書いていないわけです。

 最大の問題は、成果ではなくて時間規制をなくすということです。成果で賃金を払う働かせ方ほど、時間規制が大事です。成果を求める一方で時間制限がなくなったら、成果が出るまで働かせるということになる。結局、過労死が続出するということになるじゃないですか。過労死をなくそうと全会一致で法律(過労死等防止対策推進法)をつくっておきながら、なぜ長時間労働を広げるようなものをつくるのか。全く矛盾していると思います。

 山井氏は「ブラックな働かせ方を合法化する」、今井氏は「総労働時間の上限やインターバル措置をやるべきだ」、社民党の福島瑞穂氏は「残業代不払い、過労死が増える」とのべました。

歯止めにならない健康確保措置

 田村氏は「健康管理時間を超えたら健康診断などを義務化するので健康は一定程度確保できる」と言い訳。小池氏は次のように反論しました。

 小池 健康管理時間は、一月当たり100時間をこえた労働者が指導の対象になるというものですが、100時間というのは「過労死ライン」を超えています。こんなものは命を守る何の歯止めにもなりませんよ。

 田村 前提が長時間働いたら成果が出るという働き方の人じゃないんです。

 小池 健康管理の問題ですよ。

 田村 1075万円の年収という制約があるんです。

 小池 そういう人に過労死が多いんですよ。

 他の野党から「残業代ゼロは拡大される」(山井氏)などと指摘が出され、小池氏はこうのべました。

共同で長時間労働規制の実現を

 小池 「小さく産んで大きく育てる」と竹中平蔵さん(パソナ会長)、経団連も(対象者は)10%だと言っていますよ。(対象を)広げようとしているじゃないですか。

 この問題で野党で一致できると思うんです。例えば、長時間労働の是正。残業時間の上限を法定する。あるいはインターバル規制をやる。残業代ゼロ法案ではなくて、こういう法律こそ必要だと思いますから、長時間労働を規制する法案を国会に出して、これを実現したいと思います。


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