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2015年5月11日(月)

安倍流「国立大改革」の暴走(下)

「交付金増額を」15大学が声明

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 国立大学に対する運営費交付金に占める重点配分の割合は2016年度の予算編成で決められます。経団連は、運営費交付金の3〜4割を重点配分に充てるよう主張。財務省の財政制度等審議会も3割を求めており、予断を許さない情勢です。

財界人や元大臣

 和歌山大学の山本健慈前学長は自著のなかで、文科省から「大改革をしていない」と評価されれば「そんな大学は退場してもらいますということに追い込まれていくと思います。まさに地方国立大学は『壊死(えし)』してしまう」と批判しています。

 日本共産党の田村智子参院議員は「運営費交付金の総額を増やさないまま重点配分を行えば、必然的にどこかを削る、縮小することになる」と追及しましたが、下村博文文科相は「増額する」とは言明しませんでした。

 こうした動きに各大学がいっせいに批判の声をあげています。

 東北、山形、福島、福井、奈良教育、和歌山の6国立大学の学長が3月、記者会見し、「(交付金の)削減は教育や研究の質の低下を招き国立大が衰弱する」と訴えました。

 各国立大学に設けられている経営協議会の学外委員も、交付金削減に反対し、財政支援を求める声明を発表。北海道教育、東北、秋田、山形、福島、筑波、静岡、名古屋、福井、奈良教育、和歌山、広島、高知、山口、宮崎の15大学に広がっています。

 学外委員にはトヨタ自動車会長、ファミリーマート会長ら財界人をはじめ、有馬朗人、遠山敦子両元文部・文科相も名を連ね、「基盤的経費の削減が続いていくならば『10年間で世界大学ランキングトップ100に日本の大学を10校以上』等の目標達成は、国立大学の衰退とともに実現が困難になってくる」(名古屋大学学外委員声明)として増額を求めています。

競争的資金では

 安倍内閣は、「競争的資金」についても「一体改革」を進め、交付金と併せて財源を確保するとしています。

 競争的資金は、各省庁がテーマを決めて募集し、審査で選ばれた大学や研究者らに出されるものです。14年度予算は4162億円で科学技術関係費の約11%を占めます。

 これまでも運営費交付金が減らされ、競争的資金が増やされてきました。しかし、競争的資金は3〜5年の短期が主流です。研究者は研究しながら次の資金獲得を準備しなければならず、非常勤の研究者を増大させる要因になっています。

 日本学術会議は提言で「競争的資金で雇用される若手研究者やポスドク(ポストドクター=非常勤の研究員)等は、競争的資金での研究成果を出すことが困難となっている」と指摘しています。

 ところが、文科省は「産業界との連携を進めていく」として、財界の要求に応える仕組みや外国人研究者の登用を打ち出すなど競争的資金の性格をいっそう強める姿勢です。

 田村議員は「競争的資金を増やしても運営費交付金を減らしたままでは学術研究の発展はない」と指摘し、運営費交付金の増額を求めました。

(おわり)

(深山直人)


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