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2013年10月13日(日)

軍政下の人権侵害追及へ

ブラジル 検事総長が最高裁に勧告

恩赦法の無効化も示唆

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 ブラジルのロドリゴ・ジャノト検事総長は9日、軍事政権(1964〜85年)下の人権侵害行為の加害者の裁判を行うことを最高裁判所に勧告しました。同国には、軍関係者の訴追を阻む恩赦法がありますが、同総長は検察トップとして初めて恩赦法の無効化も示唆しており、人権侵害追及の新たな動きとして注目されます。


 報道によると、グルジェル前検事総長は恩赦法擁護の立場でした。ジャノト総長は、人権侵害の追及を重視するルセフ大統領の期待を担って先月17日に就任したばかりです。

 同総長は、勧告の発表にあたって、「人道に対する犯罪に時効はないということは、人権に関する国際法の強制的な規範である」と表明しました。

 ブラジルは同じく軍政の歴史を持つ他の南米諸国に比べ、軍政下の人権侵害の追及が遅れています。その大きな要因は、軍政下の79年に制定された恩赦法が弾圧加担者の訴追を不可能にしているためだといわれてきました。

 米州機構(OAS)の米州人権裁判所が2011年、ブラジルが人権侵害行為を犯した軍人や情報機関の要員について調査も処罰もしていないことを非難し、恩赦法の権限を弱めるよう勧告する判決を出していました。しかし、当時の最高裁は、国内の「法律の安定性」を守る必要があるとして、この判決を拒否。

 ジャノト総長は、この判断も批判し、独裁政権の支柱であった恩赦法に反対するイニシアチブが問題になっている時に、「守るべき法律の安定性など何もない」と指摘しました。

 ブラジルの検察当局は最近、隣国アルゼンチンの裁判所の要請に基づいて、同国の軍政時代(1976〜83年)の弾圧関与で起訴され、ブラジル国内に潜伏していた元警察官の拘束・引き渡しを決定しました。南米各国で進められている軍政下の人権弾圧追及での共同の一環です。

 ジャノト氏はこの決定にも触れながら、アルゼンチンだけでなく、ブラジルでも、人道に対する犯罪では時効がないというルールが「適用されることになる」と述べ、恩赦法の無効化を目指すことを示唆しました。(菅原啓)


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