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2012年9月14日(金)

民主党案 「原発ゼロ」に圧力

経団連会長 電話かけ直接「承服しかねる」

米エネ省副長官 「意図せざる影響もあり得る」

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 野田佳彦首相は新たなエネルギー政策について、「今週中にも一定の考えを出したい」(11日)としています。その「原案」は、民主党が7日にまとめた「提言」に沿ったものとされていますが、原発推進の財界や米政府から巻き返しにあっています。

 民主党の提言は「2030年代に原発稼働ゼロ」という目標を掲げました。しかし、目標自体があいまいなうえ、即時撤退を求める世論から見て遅すぎます。また当面の原発再稼働を前提とするなど重大な問題を抱えています。

 ところが、こうした案にさえ財界は猛反発。日本経団連の米倉弘昌会長は10日の記者会見で、「『原発比率ゼロ』は現実的でなく、実現困難である」と批判。「日米同盟関係の維持も重要」と、懸念を強調しました。さらに13日の緊急記者会見では、野田首相に電話で直接「承服しかねる」と伝えたことを明らかにしました。

 経済同友会の長谷川閑史(やすちか)代表幹事は4日の会見で、「原発ゼロ」に「反対の立場は変わらない」と発言。日本商工会議所の岡村正会頭も同日、「もう一度検証してほしい」と述べるなど、圧力を強めています。

 米倉氏の懸念する米国からの圧力も強まっています。

 民主党の前原誠司政調会長と11日に会談した米エネルギー省のポネマン副長官は、“2030年代に原発ゼロを目指す”との民主党の提言について、「このような措置を実際に取れば、意図せざる影響もありうる」と、どう喝を加えました。同氏は「エネルギーの問題は日本が決めることだ」としつつも、「原発ゼロを目指すことを決めた場合の負の影響をなるべく最小化してほしい」と要請。同戦略の推進にあたっては「柔軟性」を残すよう求め、日米間でさらに意見交換していきたいとの考えを示しました。

 8月に第3次アーミテージ・リポートを発表し、商業用原子炉での日米協力の推進を強調した米戦略国際問題研究所のジョン・ハムレ所長は12日、日本経済新聞(13日付)に「原子力は日本の担うべき責務」とする論文を寄稿。「国家安全保障上の観点からも、日本は『原子力国家』であり続ける必要がある」と原発維持を迫っています。

 米国では今年2月、スリーマイル島原発事故後初めてとなる原発建設計画が承認されています。同計画では、東芝の子会社であるウエスチングハウス社製の原子炉が用いられており、原発輸出を含め、日米の核技術協力の深まりを示しています。

 民主党内では、「経済界の強い巻き返しがあり、『30年代稼働ゼロ』が明記されるかわからない。まだ固まってはいない」という一方、「そもそも30年代に原発ゼロを可能とするという幅のある表現は『期限』になっていない。もっと明確にすべきだ」など意見が交錯しています。

 こうした動きは「原発ゼロ」を実現するためには、米国・財界いいなりの政治から抜け出さなければならないことを示しています。


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