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2012年7月7日(土)

利益優先 安全後手に

検察官役 JR西元3社長追及

福知山線事故強制起訴初公判

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 2005年、死者107人を出した兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷罪に問われているJR西日本元会長の井手正敬(77)ら歴代3社長の初公判が6日、神戸地裁でありました。ほかに起訴されたのは南谷昌二郎元会長(71)、垣内剛元社長(68)。いずれも「事故は予見できなかった」として無罪を主張しました。

 3被告について神戸地検は09年、嫌疑不十分で不起訴としましたが、検察審査会が起訴相当を議決。10年4月、強制起訴されました。

 起訴状によると、事故現場のカーブは(1)1997年のJR東西線開業に伴い急カーブになり、直前の直線区間との制限時速差が時速50キロメートルに拡大した(2)快速列車の増発で余裕のないダイヤとなった―ことなどにより、事故の危険性が高まりました。3被告はこれらを認識していたにもかかわらず、事故防止のためのATS(自動列車停止装置)整備の指示を怠りました。

 3被告は罪状認否でいずれも「事故が起きると想定することはできなかった」と無罪を主張。井手被告は事故から7年をへて初めて被害者、遺族らに向けて謝罪しました。

 検察官役の指定弁護士は冒頭陳述で、3被告がいずれも現場カーブの危険性、速度超過による脱線事故の可能性を予見でき、ATS設置の必要性を認識できたと主張しました。

 JR西の安全対策がATSなどの設備よりも運転士の「意識」を追及するソフト面に傾き、懲罰的な日勤教育はかえって人為ミスを招く悪循環につながっていたと指摘。「収益の増大を第1の目標に掲げ」、「安全対策は常に後手に回っていた」と同社の利益優先の経営体質に踏み込み、経営トップだった3被告の責任を追及しています。

 一方、3被告の弁護人は冒頭陳述で、「事故原因は誰にも想定できない運転士の粗暴運転」などと、責任を運転士に押し付ける主張をしました。

 同事故をめぐってはJR西日本の山崎正夫前社長も起訴され、今年1月の神戸地裁で無罪判決とされました。今回の裁判と合わせ、JR西の歴代4社長が裁かれる異例の事態となっています。


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